2022-01-01から1年間の記事一覧

コロナウィルス感染体験記

先々週の土曜日、9月24日から今日に至るまでの一週間+2日間は、想像もしないに日を経験してしまった。まさか私が“コロナ感染”?油断大敵とはよく言ったもの。元々、それほど付き合いが多い人間ではなく、会社退職後は家と体育館(スポーツジム)と図書…

米澤信穂「巴里マカロンの謎」

米澤氏が冒頭で記しているように、小山内ゆきと小鳩常悟朗の高校生コンビが、洋菓子和菓子などの甘味菓子を題材にしたミステリーの10年ぶりの文庫作品「巴里マカロンの謎」読了。お菓子にまつわる話の短編を4編が、それぞれお菓子の名前がついていて、尋常な…

映画「流浪の月」

凪良ゆうさんの本屋大賞受賞作を原作とした日本映画「流浪の月」を下高井戸シネマにて9月16日に鑑賞。広瀬すずが渾身の体当たり演技に挑んだ作品で、相手役が役にぴったりの雰囲気を持つ松坂桃李が演じた作品。 10歳の少女が行き場を失い、公園にいたところ…

米澤穂信「ふたりの距離の概算」

米澤氏の折木奉太郎を主人公とする神山高校古典部シリーズ「ふたりの距離の概算」読了。 「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければならなおことなら手短に」をモットーとする折木にしては、随分やらなくてもいいことを熱心に取り組むのがこのシリ…

映画「国葬」

安倍元首相が暗殺され、岸田首相は早々と国葬にすることを決め、9月27日に強行される予定である。国民世論は国葬反対が徐々に増加し、直近の朝日新聞の世論調査では、反対が賛成の2倍近くにせまるという惨憺たる状況である。また、イギリスのエリザベス女王…

米澤穂信「愚者のエンドロール」

米澤氏の折木奉太郎シリーズ第2弾「愚者のエンドロール」読了。依然として折木奉太郎以下古典部のメンバーは1年生の4人。彼らは夏休み返上で文化祭のための文集「氷菓」制作に入っており、毎日高校に通う日々。そんな中、本作では女帝こと2年F組の入須…

2022年9月東北温泉旅行記

大人の休日倶楽部パスを利用した東北温泉旅行を、9月9日(金)~12日(月)にかけての3泊4日で挙行。昨年は北海道への一人旅でしたが、今年は妻との二人三脚で。 初日は3回目となる山形蔵王温泉を宿泊地とする旅。8:56東京発の新幹線で山形駅へ。山形の…

米澤信穂「氷菓」

米澤穂信氏の記念すべきデビュー作で、主人公の折木奉太郎、親友で古典部員の福部里志、古典部の女性部員千反田える、伊原摩耶華の出会いから、奉太郎がいくつかのミステリーの謎解きを仲間としていくストーリー展開を描く「氷菓」読了。9月9日~12日か…

米澤穂信「本と鍵の季節」

米澤先生の原点ともいわれる「氷菓」に代表される折木奉太朗シリーズは、まだ読み始めたところですが、同じく高校生を主人公としたミステリー「本と鍵と季節」読了。 主人公は高校二年生の僕こと堀川と、同じ図書委員の松倉志門。二人とも相当鋭い推理眼の持…

映画「ブルー・バイ・ユー」「ブラックボックス」

本日はギンレイホールにて映画二題鑑賞。入館すると悲しい知らせのチラシをスタッフからもらいました。ギンレイホールはかなり古いビル、銀鈴会館に入っているのですが、築63年ということで、耐震等などの問題もあるのでしょう、建替えることになり、入居…

米澤穂信「いまさら翼と言われても」

米澤さんは、昨年下半期に「黒牢城」で直木賞を受賞しましたが、ノミネート3回目での受賞ということで、まずまずの早さでしたが、受賞以前から堂々たるベストラー作家で、候補作になった「満願」や、「王とサーカス」など、骨のある作品をいくつも執筆してい…

伊兼源太郎「事故調」

「ぼくらはアン」に続いての伊兼源太郎作品「事故調」読了。 「事故調」とは、言わずと知れた「事故調査委員会」。志村市という架空の海辺に面した市を舞台に、人工海浜の陥没穴に転落した小学生の死亡事故調査委員会を正面から取り上げる話かと思いきや、本…

伊兼源太郎「ぼくらはアン」

伊兼源太郎が、無戸籍にならざるを得なかった双子の男女きょうだいと、日本国籍のないタイ人少女マヨンチット、そして疎外感を持つやくざの子供である誠の4人を主人公に、彼らの子供時代と、成人して彼らの不幸の下を立つ3日間を描いた「ぼくらはアン」読了。…

伊岡瞬「代償」

伊岡瞬氏の2014年書下ろし作品「代償」読了。 生まれついての悪人、更生しようのない悪人という人が世の中にはいるということを昔何かで読んだことがありますが、本作はそんな悪人と出会ってしまった少年、後に弁護士となる奥山啓輔を主人公に、達也という遠…

選択的夫婦別姓制度の賛否アンケートに見る世論調査の曖昧さ

2022.08.22(月)朝日新聞朝刊の一面トップ記事は、選択的夫婦別姓制度の賛成反対を求める世論調査が、意図的に質問内容を変えていたことが報じられていた。 調査の結果は、過去の調査時に比べて賛成の回答が過去最低になっていたとのことである。朝日新聞の…

映画「教育と愛国」

現在、安倍元首相の銃撃・殺害事件から浮かび上がった、カルト集団である旧統一教会と自民党を中心とした保守政治家とのぶつぶつの関係が明らかになり、岸田首相も内閣・自民党役員人事を前倒しする事態となった。しかし、内閣改造を行うと世論調査の内閣支…

池井戸潤「半沢直樹 アルルカンと道化師」

池井戸潤作品、それも半沢直樹シリーズを読むのは久しぶりとなりますが、相変わらずそのエンタメ精神は健在。本作「アルルカンの道化師」もまた、勧善懲悪スタイルで、半沢直樹が東京中央銀行大阪西支店の融資課長として、足元では浅野支店長、江島副支店長…

映画「灼熱の魂」

8月12日(土)、新宿シネマカリテにてカナダ・フランス合作映画「灼熱の魂」鑑賞。舞台はレバノン。レバノンでは1975年から約15年間、キリスト教徒、パレスチナ人、シリア、イスラエルなどが関わった激しい内戦が続き、本作はその内戦に巻き込まれた一人の…

道尾秀介「N」

随分前の朝日新聞土曜の書評欄で絶賛されていた道尾秀介氏作品「N」読了。絶賛されていただけあって、大変に読み応えのある作品でした。著者自らが冒頭の「本書の読み方」で、六章構成ながら、どの作品から読んでもいいと書いてあります。そして、順番を変…

安倍晋三元首相の違憲の国葬に反対する

「共同通信社が7月30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回った。国葬に関する国会審議が「必要」との回答は61・9%に…

下村敦史「叛徒」

下村敦史さんが、新宿歌舞伎町を舞台にした犯罪小説「叛徒」読了。叛徒とは、謀反を起こした者、あるいは裏切り者というような意味。本作での叛徒は誰を指すのかは微妙なところですが、考えられるのは主人公である、新宿署所属の中国語の通訳捜査官である七…

映画「ナイトメア・アリー」「ウェスト・サイド・ストーリー」

2022.08.06(土)ギンレイホールにて映画二題鑑賞。両作品とも2.5時間近い長尺映画のため、ギンレイホールの古い椅子での鑑賞は体にこたえます。体調が前よりはよくなったものの、長時間椅子に座ることは拷問に近い苦行で、映画の中身より体の痛さが勝り、ま…

真保裕一「ブルー・ゴールド」

真保裕一作品は、「おまえの自摸を自白しろ」をつい1か月前に読んだのですが、もうその記憶がなくなっている有様。ブログを見て辛うじてそのストーリーが若干思い出せる程度。こんな状態で読書する意味があるのかと疑問を覚えてしまう今日この頃。 ブルー・…

映画「メイド・イン・バングラデシュ」

2022.08.03(木)下赤井戸シネマにて珍しいバングラデシュ映画「メイド・イン・バングラデシュ」鑑賞。資本主義においては、とにかく安く物を作り、顧客を獲得するという原理が働き、特にアパレル産業における縫製は、技術的な進歩はほとんど終了し、安い労…

和田静香「選挙活動ビラ配りからやってみた」

相撲・音楽ライターの肩書を持ち、直近では「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた」という著作が評判になった和田静香さんが、「時給はいつも・・・」で聞いた国会議員である小川淳也さんの前回衆議院選の工事から投票日ま…

ドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」

本日2022.07.26(金)、新宿ピカデリーにてドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」鑑賞。 ナワリヌイ氏は、ロシアのプーチン政権を勇気をもって批判してきた弁護士で政治家。ロシアでは、プーチンを批判する有力な政治家やジャーナリストは、何故かほとんどが暗…

下村敦史「緑の窓口」

下村敦史さんと言えば本格ミステリー作家と私は思っていたが、本作「緑の窓口」は、ミステリー要素は若干あるものの、樹木を題材にした一風変わった作品まで書くとは驚き。しかもそれが中途半端どころか、本格的の面白いのだから、下村さんの作家としての幅…

柚月裕子「明日の君へ」

柚月裕子作品を読むのも久しぶり。最近はやくざの広島抗争を描いた作品が話題ですが、私はやっぱり検事や家裁調査官などを主人公とした人間ドラマが大好き。そんな柚月作品で読んでいなかった一作が「明日の君へ」で、柚月作品らしい感動作でした。 主人公は…

安倍元首相暗殺事件と国葬

2022年7月8日(金)、奈良市で参議員選の応援演説中、銃撃され亡くなった安倍元首相については、彼が改憲論者であり、戦前回帰的な思想を持っていたとしても、むごたらしい犯罪事件であり、容疑者にどんな理由があるにせよ、決して許されるものではない。ご…

中山七里「能面検事の奮迅」

中山先生の能面検事シリーズ第二弾が遂に登場。題して「能面検事の奮迅」。 大阪地検の不破検事を主人公に、森友学園の土地売却や公文書改竄問題をヒントにしたのが見え見えの作品。 不破は最初はこの事件に関わることを拒否するが、東京地検のかつての上司…