中山七里「能面検事の奮迅」

中山先生の能面検事シリーズ第二弾が遂に登場。題して「能面検事の奮迅」。

大阪地検の不破検事を主人公に、森友学園の土地売却や公文書改竄問題をヒントにしたのが見え見えの作品。

不破は最初はこの事件に関わることを拒否するが、東京地検のかつての上司だった岬次席検事の要請もあり、正式に事件を担当することになる。事件は岸和田市の学校候補地をめぐる贈収賄事件と安値売却、そして地検検事の文書改竄問題。不破検事は、近畿財務局職員の安田が、学校理事長の荻山に便宜を図った安値売却問題と、大阪地検特捜部の高峰検事が文書改竄を図った問題の裏に、安田と高峰の関係に何か深い繋がりがあることを直感し、二人の関係を現場で確認し、そこに20年前の忌まわしい事件が隠されていたことを暴いていく。

能面検事こと、不破検事の事務官を勤める惣領美晴を語り部にしたスタイルは前作と変わらず、ぶっきらぼうながら鋭く、信念を貫き通す不破検事に、時に不満を抱きながらもしつこくついていく姿も前作同様。

事件は安田と高峰の共犯が不破の調査で明らかとなり、一件落着と思いきや、中山作品らしく、最後にもう一つのどんでん返しがあり、それを見抜く能面検事の面目躍如でジ・エンドとなりました。

今日はこの辺で。