映画「国葬」

安倍元首相が暗殺され、岸田首相は早々と国葬にすることを決め、9月27日に強行される予定である。国民世論は国葬反対が徐々に増加し、直近の朝日新聞世論調査では、反対が賛成の2倍近くにせまるという惨憺たる状況である。また、イギリスのエリザベス女王がなくなり、本日9月19日に国葬が行われているが、多くの国民の弔意が示されている国葬に比べ、何とも寂しい安倍元首相の国葬になりそうである。

そんな国葬が話題になる中、ウクライナのセルゲイ・ロズニツァ監督のドキュメンタリー映画国葬」を9月17日に下高井戸シネマにて鑑賞。この映画は、1953年に亡くなったソ連の指導者、スターリン国葬場面の映像を映し出したもので、当時国民が動員されたのか、それとも自然発生的に集まったかは定かではないが、すごい数の人民が弔問に訪れている場面が映し出されている。中には涙を拭いて弔問している女性たちが多く見られ、1953年当時は国民に愛されていたかのような印象も受けます。スターリンと言えば、政敵や同僚をはじめ、自分の意に沿わない人間は何百万人単位で粛清したことで知られていますが、彼の評価が定まるのは、フルシチョフによる1956年のスターリン批判までの3年間程は、ほぼ闇に隠れていたため、尊敬されていたようです。しかし、3年後にはスターリン批判が行われ、遺体もレーニン廟から追い出されたとのこと。エンドロールでは、すさまじい数の国民や他国民を殺害した人物として、国葬の盛大でかつ厳粛な式典を否定的に評価している。何らやらせ的な場面のない、あくまで当時撮影された大量のフィルム映像と音楽が流され、退屈になるほどです。最後の方で、フルシチョフが司会を務めて、後継首相のマレンコフ、ベリヤが挨拶する場面は、この映画の中では唯一の見せ場。数年前に「スターリンの葬送協騒曲」というコメディー映画があったが、挨拶した者たちは数年後には失脚し、フルシチョフ体制が出来上がる、その前兆のような場面でありました。

国葬で神格化するものもいれば、化けの皮が剥がされる者もいることを物語っています。

安倍元首相については、国葬後、果たしてどうなるのか?早くも化けの皮が剥がれかかっているような気もするのですが。

なお、プーチンスターリン歴史的評価を高くする発言をしていることは、非常に恐るべきこと。確かにやっていることは、政敵をことごとく亡き者にし、独裁者となっていく過程、そしてウクライナに軍事侵攻している事実から、スターリン礼賛者としてプーチンを評価するべきかもしれない。

今日はこの辺で。