ドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」

本日2022.07.26(金)、新宿ピカデリーにてドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」鑑賞。

ナワリヌイ氏は、ロシアのプーチン政権を勇気をもって批判してきた弁護士で政治家。ロシアでは、プーチンを批判する有力な政治家やジャーナリストは、何故かほとんどが暗殺されるという不運に逢っている。不運というのは不適切な言葉で、プーチンを批判したものは政権側に殺されるという恐ろしい社会である。そんな社会にもかかわらず、10年以上前から勇気をもって批判してきたナワリヌイ氏を追いかけた優れたドキュメンタリー。

ナワリヌイ氏は2020年8月、飛行機内で何者かに毒を盛られ昏睡状態に陥る。当初はロシアの病院に収容されるが、そこでは毒は発見されないという診断で、妻や支援者は国外の病院へに移送を要請し、ドイツのメルケル首相が受け入れることを表明し、プーチンもそれを許す。そしてドイツの病院に移送され、毒物が発見される。ナワリヌイは、協力者を得て毒をもったと思われる人間を特定し、彼らに電話をかける場面は圧巻。最初の3人は警戒して何も答えないが、最後の一人は真相をぺらぺら話してしまう場面は爽快。記者会見でナワリヌイ氏は政府関係者から毒を盛られたことを発表し、大問題となるが、プーチンは全く相手にしない。ナワリヌイ氏は翌年ロシアに帰国するが、空港で拘束され、今は刑務所で収監されている身である。

プーチンウクライナに侵攻して戦争中であるが、いかに独裁者として悪事を働いてきたかが想像できる。未だに日本の一部リベラル派はプーチンをまともに批判せず、ひたすらアメリカ批判をしているが、政敵や政権批判ジャーナリストを亡き者にして、正当な選挙によって大統領を続けていると見せかけている擬制政権が真っ当な人間であるかどうかを考えなければならない。

ナワリヌイ氏の暗殺未遂事件について質問するプーチンの記者会見場面が出てくるが、けっして「ナワリヌイ」という固有名を使わずに、「ドイツに移送された人」という表現をしていたのは印象的である。自分は具体的なことは何も知らないというポーズをとっているのが見え見えの記者会見。

それにしても、ナワリヌイ氏の支持者が空港でたくさん待っている中、拘束するという大胆な行為は、プーチンであれば「何か罪を作って拘束しろ」の一声で行われたことが推測される。KGB出身のプーチンは底知れない恐ろしい人間であることがよくわかる映画でした。

今日はこの辺で。