2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

伊兼源太郎「事故調」

「ぼくらはアン」に続いての伊兼源太郎作品「事故調」読了。 「事故調」とは、言わずと知れた「事故調査委員会」。志村市という架空の海辺に面した市を舞台に、人工海浜の陥没穴に転落した小学生の死亡事故調査委員会を正面から取り上げる話かと思いきや、本…

伊兼源太郎「ぼくらはアン」

伊兼源太郎が、無戸籍にならざるを得なかった双子の男女きょうだいと、日本国籍のないタイ人少女マヨンチット、そして疎外感を持つやくざの子供である誠の4人を主人公に、彼らの子供時代と、成人して彼らの不幸の下を立つ3日間を描いた「ぼくらはアン」読了。…

伊岡瞬「代償」

伊岡瞬氏の2014年書下ろし作品「代償」読了。 生まれついての悪人、更生しようのない悪人という人が世の中にはいるということを昔何かで読んだことがありますが、本作はそんな悪人と出会ってしまった少年、後に弁護士となる奥山啓輔を主人公に、達也という遠…

選択的夫婦別姓制度の賛否アンケートに見る世論調査の曖昧さ

2022.08.22(月)朝日新聞朝刊の一面トップ記事は、選択的夫婦別姓制度の賛成反対を求める世論調査が、意図的に質問内容を変えていたことが報じられていた。 調査の結果は、過去の調査時に比べて賛成の回答が過去最低になっていたとのことである。朝日新聞の…

映画「教育と愛国」

現在、安倍元首相の銃撃・殺害事件から浮かび上がった、カルト集団である旧統一教会と自民党を中心とした保守政治家とのぶつぶつの関係が明らかになり、岸田首相も内閣・自民党役員人事を前倒しする事態となった。しかし、内閣改造を行うと世論調査の内閣支…

池井戸潤「半沢直樹 アルルカンと道化師」

池井戸潤作品、それも半沢直樹シリーズを読むのは久しぶりとなりますが、相変わらずそのエンタメ精神は健在。本作「アルルカンの道化師」もまた、勧善懲悪スタイルで、半沢直樹が東京中央銀行大阪西支店の融資課長として、足元では浅野支店長、江島副支店長…

映画「灼熱の魂」

8月12日(土)、新宿シネマカリテにてカナダ・フランス合作映画「灼熱の魂」鑑賞。舞台はレバノン。レバノンでは1975年から約15年間、キリスト教徒、パレスチナ人、シリア、イスラエルなどが関わった激しい内戦が続き、本作はその内戦に巻き込まれた一人の…

道尾秀介「N」

随分前の朝日新聞土曜の書評欄で絶賛されていた道尾秀介氏作品「N」読了。絶賛されていただけあって、大変に読み応えのある作品でした。著者自らが冒頭の「本書の読み方」で、六章構成ながら、どの作品から読んでもいいと書いてあります。そして、順番を変…

安倍晋三元首相の違憲の国葬に反対する

「共同通信社が7月30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回った。国葬に関する国会審議が「必要」との回答は61・9%に…

下村敦史「叛徒」

下村敦史さんが、新宿歌舞伎町を舞台にした犯罪小説「叛徒」読了。叛徒とは、謀反を起こした者、あるいは裏切り者というような意味。本作での叛徒は誰を指すのかは微妙なところですが、考えられるのは主人公である、新宿署所属の中国語の通訳捜査官である七…

映画「ナイトメア・アリー」「ウェスト・サイド・ストーリー」

2022.08.06(土)ギンレイホールにて映画二題鑑賞。両作品とも2.5時間近い長尺映画のため、ギンレイホールの古い椅子での鑑賞は体にこたえます。体調が前よりはよくなったものの、長時間椅子に座ることは拷問に近い苦行で、映画の中身より体の痛さが勝り、ま…

真保裕一「ブルー・ゴールド」

真保裕一作品は、「おまえの自摸を自白しろ」をつい1か月前に読んだのですが、もうその記憶がなくなっている有様。ブログを見て辛うじてそのストーリーが若干思い出せる程度。こんな状態で読書する意味があるのかと疑問を覚えてしまう今日この頃。 ブルー・…

映画「メイド・イン・バングラデシュ」

2022.08.03(木)下赤井戸シネマにて珍しいバングラデシュ映画「メイド・イン・バングラデシュ」鑑賞。資本主義においては、とにかく安く物を作り、顧客を獲得するという原理が働き、特にアパレル産業における縫製は、技術的な進歩はほとんど終了し、安い労…