2020-01-01から1年間の記事一覧

寺澤有「本当にワルイのは警察」~国家権力の知られざる裏の顔~

寺澤氏は、警察などの国家権力と戦うノンフィクション作家。本書「本当にワルイのは警察」は、寺澤氏が取材してきた警察権力の汚い裏の姿を映し出します。警察は庶民の味方と思っている方も多いかと思いますが、警察官個々人に本当に悪い人はもともとはいな…

韓国ドラマ「ミセン」

またもや韓流ドラマにはまり、時間を随分費やしました。こんなので私の生活はいいのか?と少し反省。 とにかく韓流テレビドラマは長編。一派が通常正味60分~80分、それが通常16話(おそらく韓国は半年単位なのでしょう)、長いと20話も普通。今回Netflixで…

イスラエル映画「声優夫婦の甘くない生活」

珍しいイスラエル映画「声優夫婦の甘くない生活」を、武蔵野館で鑑賞。 時は1990年、ソ連崩壊の近づいた時期に、ソ連からイスラエルに移住した熟年夫婦が、ロシア語の声優の仕事を見つけるが、なかなか仕事が見つからず、まず妻がテレフォンセックスの仕事に…

浅田次郎「大名倒産 下巻」

浅田次郎先生の「大名倒産 下巻」読了。上巻では、隠居した仙台お殿様の計画倒産陰謀に気づいた当代お殿様が、江戸から領地の越後丹生山に駆け足で戻るまでを描きましたが、下巻はいかにして倒産を防いでお家を復興させるかのハイライト。上巻以上に期待した…

日本推理作家協会編「至高のミステリー、ここにあり」

日本推理作家協会編の講談社文庫ミステリー傑作選は、7人の作家の作品を紹介。いずれも味のある作品ぞろいながら、ここでは4作品を紹介します。 横山秀夫「罪つくり」は、得意の警察もの。横山作品は、登場人物のセリフが短く、セリフ間の描写も短くテキパキ…

浅田次郎「大名倒産」上巻

浅田次郎先生の最新の単行本?「大名倒産」上巻読了。あまりの面白さに、とりあえず上巻読了時での感想。さすがに浅田先生、とにかくストーリー設定が見事で、読ませます。 越後丹生山3万石の領主となった松平和泉守信房を主人公に、江戸時代末期の借金だら…

北陸温泉めぐり旅行

JR東の大人の休日倶楽部パスを利用した旅行、今回初めて北陸新幹線利用したパスで北陸3県を巡る旅に、12月5日(土)、妻と出かけることに。政府は三密や移動を避けるように呼びかける一方、観光・飲食業界の景気対策として移動と三密を誘導しかねないGO…

麻生幾「戦慄 昭和・平成裏面史の攻防」

麻生幾で思い浮かぶのが「外事警察」。公安や危機管理の題材を得意とする作家ですが、本書「戦慄 昭和・平成裏面史の攻防」はノンフィクションで、戦後の大事件の裏側をきめ細かに描いたもの。1956年生まれの私にとっての未知な事件は「下山事件」だけですが…

映画「グレース・オブ・ゴット」「パブリック 図書館の奇跡」

11月28日(土)はギンレイホールにて映画二題鑑賞。 「グレース・オブ・ゴット」は、フランスのカトリック教会で起きた神父による児童虐待問題をテーマとしたドラマ。ある一人の児童性愛者の神父に少年時代性的虐待を受け、その後遺症に悩む人々が声を上げ、…

馳星周「ソウルメイト」

馳星周は直近の直木賞受賞者で、その作品が「少年と犬」。ご本人も北海道で犬を飼っていらっしゃって、相当犬がお好きなようです。「少年と犬」は未読なのですが、本作「ソウルメイト」は、もしかしたら「少年と犬」の先駆け的作品であったのかもと想像しま…

映画「海の上のピアニスト」

「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督として有名なジュゼッペ・トルナトーレが1998年に作ったイタリア映画「海の上のピアニスト」を下高井戸シネマで23日鑑賞。 1900年に大西洋航路の豪華客船内で生まれ、船内に捨て置かれたことから、1900(ナインティーン…

諸田玲子「其の一日」

諸田玲子作品は「氷葬」に次いで二冊目。本作「其の一日」は連作短編が4作からなり、連作の主題は、主人公たちにとっての重要な「一日」をめぐる話で構成されるもの。 「立つ鳥」、「蛙」、「小の虫」、「釜中の魚」の4篇から構成されますが、ここでは「釜中…

岩瀬達哉「われ万死に値す ドキュメント竹下登」

今の菅首相のアピールポイントは、「雪深い秋田の農家に生まれ、集団就職同然の形で東京に出て、働きながら大学へ行き、たまたま縁あって国会議員の秘書になり、市議から地盤・看板・鞄のない中で衆議院議員になった」である。歴代自民党政権で、こうした非…

韓流ドラマ「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」

「シグナル」で硬派の女性刑事を演じたキム・ヘス主演の韓流ドラマ「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」全16話をNetflixにて鑑賞。 どん底の少女時代を過ごし、苦学して弁護士になり、勝つためには何でもやるという女弁護士役をキム・ヘスが演じ、反対に…

映画「はちどり」「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」

11月14日(土)はギンレイホールにて映画鑑賞。 韓国映画「はちどり」は、ソウル大橋が崩落し、韓国社会のひずみが世界的に話題となった頃を舞台とした、一人の少女の鬱屈した日々を描いた作品。漢文塾で出会った女性講師に影響を受け成長するのですが、その…

柚月裕子「検事の信義」

柚月裕子さんの佐方検事シリーズ最新作「検事の信義」読了。前三作とも佐方検事の真実を追求する姿を描く短編集ですが、本作も同じパターン。検察組織という枠の中で、実際には、このような正義感溢れる検事さんがいるのか、自ら調査して事件の真相を掘り下…

映画「マザー」

Netflixにて、日本映画「マザー」鑑賞。映画を観て第一に感じたのは、人気女優の長澤まさみが、よくこんな汚れ役を引き受けたものだ、でした。離婚してシングルマザーで一人息子を育てるものの、働くことがなく、息子を学校にもやらず、ヒモのような男と同棲…

清水潔「南京事件」を調査せよ

清水さんは、FOCUSで桶川ストーカー殺人事件を調査し、日本テレビに移籍してから足利事件を追い、その優れた調査報道が高く評価されてきたのですが、本書は日本でも諸説飛びかう「南京事件」の真実を追ったテレビ報道を書籍したもの。 「南京大虐殺」は本当…

韓国ドラマ「君の声が聞こえる」

またまた韓流ドラマに埋没。全18話の長丁場ながら1週間で「君の声が聞こえる」鑑賞。ある殺人事件を目撃した少女が成長して弁護士になり、その殺人事件に巻き込まれそうになった少年が青年となって彼女の前に現れ、二人が殺人犯からの恐怖を受けながら、歳の…

毎日新聞新潟支局編「新潟少女監禁事件 - 空白の九年二カ月」

新潟県三条市で1990年11月に発生した少女誘拐事件、この事件が解決したのが約10年後の2000年1月、なんと少女は9年8か月の長きにわたり、誘拐犯に監禁されていたというショッキングな事件でした。本書は、毎日新聞の取材班がこの異常な事件と、それに派生して…

韓流ドラマ「シグナル」

韓流ドラマに凝り固まっている今日この頃。「愛の不時着」を皮切りに、「梨泰院クラス」、「ミスティ」ときて、今回は「シグナル」を一気見。韓国ドラマの1クールは16回、しかもCMなしで1時間~1.5時間の長さがあり、かなりの時間を要しますが、それでも、そ…

清水潔「遺言 桶川ストーカー殺人事件の真相」

清水潔さんが、まだFOCUS時代に出会った「桶川ストーカー殺人事件」を、写真週刊誌記者として徹底取材し、犯人を特定すると同時に、警察組織の陰謀を赤裸々にした本書。 桶川ストーカー事件については、鳥越俊太郎氏の著書などでも描かれていますが、本書が…

映画「薬の神じゃない!」

11月2日(月)は、日曜日と文化の日の間のすき間日。休暇をもらってゆっくり過ごすことに。 午前中は新宿武蔵野館で中国映画「薬の神じゃない!」鑑賞。Yahooレビューでも高得点で、久しぶりに期待して鑑賞し、期待を裏切らない面白さでありました。 上海で…

映画「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」「カセットテープ・ダイアリーズ」

10月31日(土)、ギンレイホールにて映画二題鑑賞。 「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」は、途中居眠りをしたため、ストーリーがほとんど理解できず。私はてっきりドノヴァンが実在して俳優で、その電気的映画だと思ったのですが、後で映画解説を見ると、ど…

清水潔「犯人はそこにいる」

ジャーナリスト清水潔氏の渾身のノンフィクション「犯人はそこにいる」読了。本作は2014年の日本推理作家協会賞(評論その他部門)も受賞した、非常に読み応えのある作品。典型的な冤罪事件として有名な足利事件を、警察・検察・裁判所に犯人にされてしまい…

アニメ映画「鬼滅の刃」

10月16日~18日の3日間で46億円の興行収入をあげたという話題のアニメ映画「鬼滅の刃」をTOHOシネマ新宿にて鑑賞。私自身は全く興味がなかったのですが、妻が原作本のファンでぜひ見たいといい、付き合わされた次第。 原作もテレビのアニメも見ていない自分…

魚住昭「官僚とメディア」

共同通信記者から現在はフリージャーナリストとして活躍する魚住昭著「官僚とメディア」読了。書名とは異なり、ことさら官僚とメディアの関係を記述しているわけではなく、どちらかと言えば権力とメディアの関係を中心に記した本、 最初にあるのは、安倍前首…

瀬木比呂志・清水潔「裁判所の正体 報復を着た役人たち」

元裁判官の瀬木比呂志とジャーナリストの清水潔共著「裁判所の正体 報復を着た役人たち」読了。二人の対談形式で、主には清水氏が現在の裁判所、裁判に関する実態を瀬木氏に聞くような対談形式の著作で、瀬木氏が「絶望の裁判所」「ニッポンの裁判」で書かれ…

小杉健治「結願」

小杉健治の弁護士鶴見京介シリーズの一作「結願」読了。 「結願」は「けちがん」と読み、「日数を決めて行った法会や願立てなどの予定日数が満ちること、又はその最終日」という意味を持つ仏教用語。この作品では、四国八十八か所のお遍路の最後の日といった…

非正規労働の待遇格差是正問題

“正規社員と非正規社員” 読んで字のごとく、“非”常に嫌な言葉であるが、他に適切な言葉がないので、使うことをお許しください。 安倍政権は、一億総活躍社会と称して雇用の拡大をその成果として自画自賛したが、結局増えたのは非正規社員であり、最低賃金す…