遅ればせながら、本屋大賞受賞の超話題作だった宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」読了。宮島さん自身が大津在住で、滋賀県随一の名門進学校である膳所高校(おそらく)→京大出身であろうことから、ご自身、又は当時の在校生を想定したのではないかと思われる作品。6篇の連作短編からなっており、主人公の成瀬あかりが中学2年生から高校3年生までの奇抜な活動などを描いた作品。
1. ありがとう西武大津店:大津にある唯一のデパートが閉店することになり、地元テレビ局が1か月間デパートを撮影することになり、成瀬さんは毎日テレビの前に立って感謝の気持ちを表そうとする話し。この作品が文学賞を受けたことから、その後書下ろし作品を執筆し、本作が刊行されたといういきさつ。成瀬さんは1か月間の目標を達成。途中からその後漫才コンビまでくむ島崎さんも登場する。
2. 膳所から来ました:膳所は大津市内の地名で、成瀬さんの中学3年時の挑戦は漫才のMM-1グランプリ。親友の島崎さんを何とか説得してコンビを組み、尻込みしていた島崎さんも案外乗りがよくて、ゼゼカラというコンビ名でM-1グランプリを果たす。
3. 階段は走らない:この作品だけ成瀬さんが登場しない異例の作品。西武大津店の話にSNSで投稿していたタクローさんたちの同窓会の話。同窓会を開こうとしていたマサルさんたちが、連絡先が分からなかったタクローさんと再会する。
4. 鎖がつながる:膳所高校1年生になった成瀬が頭を坊主にして現れる。その訳は、高校3年間で髪が何センチ伸びるかを実際に実験するため。島崎さんとは別高校となり、本作での相棒は大貫かえでさん。同じ中学から進学してきたが成瀬とは関わりたくない。かるたの名門校で、かるた部に入部した成瀬と一緒になりたくないから、ひたすら東大を目指して勉強に勤しむ。そんな大貫さんはたまたま成瀬さんと東大のオープンキャンパスで出会い池袋の西武本店へ。そこで成瀬さんの人間性を感じ取る。
5. レッツゴーミシガン:かるた大会に来た広島の高校生と交流があり、その高校の男子生徒と琵琶湖の遊覧船デートをする成瀬さん。成瀬さん初めての男子とのデートに成瀬さんらしくない感情も表現される。
6. ときめき江州音頭:地域のお祭りに島崎さんと一緒に司会として登場する成瀬さん。そんな島崎さんが高校卒業と同時に東京へ引っ越すことを知り、寂しく思う成瀬さん。最も親しかった友人がいなくなることに悲しくなるが、島崎さんとの漫才コンビは続くことが確認出来て元気を取り戻すのだった。
「会談は走らない」だけがどうして収録されているのかという違和感がありましたが、成瀬さんの傍若無人的な人間性がよく描かれ、続編につながる読後感を感じる作品でした。本作は本屋大賞を受賞しましたが、これがもし直木賞候補作になり、審査員の作家諸氏がどんな書評を書くのか?相当な酷評も出るのではないかと想像した次第。本屋大賞と直木賞の温度差が出るのではないかと感じた次第。
今日はこの辺で。