浅倉秋成さんの作品は「六人の嘘つきな大学生」に続いて二冊目。本作は、「家族」というテーマを、ロードムービー風に描いた作品ながら、実際に浅倉さんが描きたかったのは、最終部分の家族の在り方ではないかと感じる作品。
喜佐家は両親と長男、長女、次男の5人家族。長男は家を出て所帯を持ち、長女は家に帰らず職場か恋人の家に泊まることが多く、次男は警察官の彼女と結婚する予定の公務員。この家族でのけ者扱いされているのが父親。その父親は、かつて不倫に走り、それを目撃した次男はトラウマのように父親を嫌う。そんな家族が今住んでいる家を壊してばらばらに住むことになるのだが、ここで事件が発生。十和田湖の近くの神社のご神体の木像が自宅の倉庫から発見され、それを元日中に山梨から十和田湖まで返却するためロードムービーが始まる。それが千キロメートル。次男が語り部となって同行した長男、母親、次男、長女の婚約者が車で、長女と長男の嫁さんが新幹線で追う形で話が進む。いったい誰が木像を山梨の家の倉庫まで運び込んだのかというスリラー要素を含みながら話が展開。そして何とか無事にご神体は神社に戻るが、この事件を誰が仕組んだのかという謎が残り、そこから家族というものの姿のありようが語られる。ただ父親が何年もの間同じ屋根の下で、家族の誰にも気づかれずに住んでいたというシチュエーションは、どう考えても不自然。影の薄い父親とは言え、そこには衣食住が必ずあり、それが誰にも目撃されないという不自然さはどうかなと思った次第。
今日はこの辺で。