2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

門井慶喜「天災ものがたり」

門井慶喜氏の作品は初めて。朝日新聞か何かの書評に載っていたのが読むきっかけで、こうした物語も、過去の災害を知る上でも面白い。 1.「一国の国主」は、1540年代の信玄こと武田晴信の若かりし頃の水害対策を描いたもの。甲府盆地には釜無川に御勅使側が…

小野寺文則「いえ」

小野寺さんの作品3作目は、主人公の家族の物語「いえ」。 三上傑さんは、大学を卒業後スーパーに就職3年経過した25歳の青年。家族は高校の共闘を勤める父親の達士さん、母親の春さん、妹の若緒さんの4人家族。家は江戸川区の荒川沿いにあり、総武線の平井駅…

小野寺史宜「タクジョ!みんなのみち」

小野寺さんの作品「ひと」が気に入って、暫くは小野寺作品に夢中になりそう。今回選んだ作品は「タクジョ!みんなのみち」。 「タクジョ」って何だろうと思っていたら、タクはタクシーでジョは女子。ただ本作では女性タクシードライバーばかりが出てくるわけ…

小野寺史宜「ひと」

小野寺さんの作品も今回初めて接します。タイトルの「ひと」は、人間の正しい生き方を教えてくれる話という意味でも非常に適切なもの。 主人公の柏木聖輔さんは、鳥取生まれの鳥取育ちだが、高校生の時に父親を交通事故で亡くし、大学入学後のついこの間に母…

額賀澪「青春をクビになって」

額賀澪さんの作品を読むのは初めてながら、胸が締め付けられるような内容で、読みごたえがありました。 主人公は瀬川朝彦さんという35歳のポスドク。古事記を研究する博士で、大学院の修士、博士課程まで修め、とある大学の臨時教員をしている方。その瀬川さ…

寺地はるな「私の良い子」

青山美智子さんの本を薦めてくれた青年から、寺地さんも薦められ今回呼んだのが「私の良い子」。 小山椿さんは二人姉妹の長女で、会社勤務をする31歳。椿さんの妹の鈴菜さんは、椿さんとは正反対の自由奔放型で、ある日子供を産むと言って父親と椿さんの住む…

映画「春に散る」

佐藤浩市と横浜流星のW主演でボクシング世界チャンピョンを二人で目指す日本映画「春に散る」を下高井戸シネマにて昨日鑑賞。11月4日の土曜日から下高井戸シネマにて上映されており、私は5日(日)に上映直前に行ったのですが、満席の表示。ところが8日(水…

青山美智子「お探し物は図書室まで」

スポーツジムの若い読書好きの青年から紹介してもらった三人の作家、青山美智子さん、小野寺史宜さん、寺地はるなさんのうち、まず最初に青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」を読了。 五つの連作短編形式になっており、通して出てくるのが図書室の司書…

大門剛明「この雨が上がる頃」

大門作品六作目となる作品は、全て「雨」がタイトルに着く7編の短編集「この雨が上がる頃」。連作ではなく、すべて独立した物語で、あえて言えば滝川検事という方が、二つの物語で登場するが、一方はほんのちょい役で、話も全く関係ない。いずれの話も最後に…

大門剛明「テミスの求刑」

大門作品五作目は、検事と検察事務官の心理的葛藤を描いた「テミスの求刑」 田島亮二は津地検のエース検事で、東海最強の割り屋と言われる自供を引き出す名人検事。そんな最強検事が、かつて取り調べて自供させた事件の犯人が、獄中で自殺。父親が人殺し検事…