2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

桜木紫乃「ヒロイン」

桜木さんが、オウム真理教事件で17年間逃亡生活を行った菊池直子さんをヒロインに見立て、架空の岡本啓美という女性が同じく17年間逃亡生活を行ったという話を作り上げた作品。 啓美さんは大阪に生まれ、バレー塾を経営する母親に厳しく育てられ、徹底的なバ…

辻村深月「琥珀の夏」

辻村さんの540Pの大作「琥珀の夏」をやっと読了。この作品は2019年3月から地方新聞数社に連載された作品で、単行本化が2021年6月なので、安倍晋三銃撃事件後に大騒ぎになった統一教会問題を想定したものではないのですが、何となく宗教的な団体を扱っている…

伊岡瞬「朽ちゆく庭」

都内の賃貸マンションから郊外の戸建住宅、それも敷地が50坪、2代のカーポートと庭付きの家に引っ越してきた山岸一家に起きた事件を主軸として、崩壊すれすれにある家族関係を描く「朽ちゆく庭」読了。 一家はゼネコンの現場監督で忙しくて家族との時間が少…

池井戸潤「民王 シベリアの陰謀」

池井戸作品も久しぶりとなりました。本作「民王 シベリアの陰謀」は、2021年5月に雑誌「小説 野生時代」にプロローグと第一章が掲載されましたが、何故かそれ以降は書下ろし。2021年5月と言えば、日本でのパンデミック発生から約1年後で、これからさらに感…

嶋津輝「スナック墓場」

島津輝という作家は、初めて聞き、初めて読む。短編小説が得意なようで、本作には表題作「スナック墓場」含め7編の作品が収められていますが、いくつかの作品は何らかの賞を受けたかノミネートされたもの。7編とも大きな事件事故があるわけではありませんが…

原田ひ香「ランチ酒」

原田ひ香さんの作品三作目は、「孤独のグルメ」の女性版で、深夜に変わった仕事をしている犬森祥子さんが、翌日のランチのお店でお酒を飲みながら、そのお店の雰囲気や料理の内容などを書き綴るのですが、「孤独のグルメ」と違うところは、その深夜のお仕事…

馳星周「帰らずの海」

馳星周の警察小説「帰らずの海」読了。警察小説はサスペンス小説の定番で、横山秀夫先生の作品は典型ですが、謎解きではなく、あくまで警察官を主人公に、人間模様を織り交ぜながら描く範疇の作品。 北海道警の刑事、田原稔が主人公で、彼は函館生まれながら…