2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

染井為人「震える天秤」

染井作品の三作目「震える天秤」読了。 フリーライターの俊藤律が、雑誌社から高齢者の交通事故についての記事の依頼を受け、福井県で起きた高齢者によるコンビニの店舗激突で店長が死亡した事故を取材することに。律は150ccのバイクを駆って東京から福井…

染井為人「悪い夏」

染井為人作品三作目は、生活保護問題をベースに、それにかかわる人間の「悪」を赤裸々に描く「悪い夏」読了。 生活保護をテーマとした小説としては、中山七里の最高傑作ともいわれる「護られなかった人たちへ」があり、読んで感動したものですが、本作は登場…

2022.12.18~19日修善寺温泉旅行記

12月18日~19日、一泊の修善寺温泉旅行に行ってきた。45年ほど前に、大学のゼミで行ったことがあるのですが、その当時の記憶は全くと言っていいほどなく、唯一、しし鍋をつついたことだけはおぼろげに記憶があります。そんな修善寺温泉に、全国旅行支援を利…

喜多川泰「心晴日和」

喜多川泰作品二作目は「心晴日和」。190ページで、かつ各ページの字数が少ないので、大変読みやすく、印象にも残る作品。一部・二部構成で、主人公の那須美輝さんの14歳と28歳での物語。 一部「美輝14歳」では、クラスの数人の女子生徒から言葉のいじめにあ…

染井為人「正体」

染井為人氏の作品は初めて。1983年生まれと言いますから、現在39歳の新進気鋭の作家。まだ著書の数も少ないですが、本作「正体」を読む限り、これからが楽しみな作家でしょう。本作に出会えて、私も幸せな3日間を過ごしました。 主人公の鏑木慶一は、若い夫…

喜多川泰「また、必ず会おうと誰もが言った」

amazonで喜多川泰の本を検索すると、どの作品も評価が4点以上、驚くのはレビューの数が半端ではなく、「運転手」に至っては6,000件以上が寄せられています。こうした人気作家を、私はまだまだ知らないことにガックリした次第。 早速図書館に行きました…

道尾秀介「シャドウ」

今年8月に道尾秀介が、どの章から読んでも話が通じて味わいがあるの連作短編「N」を読み、道尾氏の技の巧みさに出会いました。そんな道尾氏が2006年の作品「シャドウ」読了。シャドウとは日本語的には「影」と訳されますが、本作における影は、小学5年生が…

映画「あのこと」

新宿ピカデリーにてフランス映画「あのこと」鑑賞。「あのこと」という奇抜なタイトルを見ると、何のことやら?と思いますが、内容は極めてシリアス。人間ドラマではあるのですが、シリアス度は、一級のサスペンス映画と言ってもいい緊迫感がある作品。 アメ…

双葉文庫版「警察の灯」

4名の推理小説作家の警察関連小説を集めた短編集「刑事の灯」読了。 実は私は、4名の作家をどなたも知らなかったのですが、たまたま何かの情報で藤崎翔氏の名前を見たことから、選んだ文庫本。4作いずれも警察官を主人公にした作品で、個性的な刑事が登場す…

彩瀬まる「新しい星」

彩瀬まるさんの小説は初めてで、本作「新しい星」は直木賞の候補作になったということで、読んでみようと借りたのですが、こうしたいい作品を書いている女性作家がいることを知ったのは、一つの収穫でした。 本作は2019年9月号の別冊文芸春秋から連載された…

雫井脩介「引き抜き屋」

雫井脩介氏の作品は久しぶりだが、「火の粉」や「犯人に告ぐ」などの推理小説が中心と思っていましたが、本作「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」のような、ビジネス小説があるとは知りませんでした。確かにサスペンス的な要素が無きにしもあらずですが、軽妙な作…