2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

大門剛明「シリウスの反証」

大門作品四作目は、これまた冤罪事件を扱った「シリウスの反証」。 東山佐奈さんという弁護士資格を持つ大学の准教授が立ち上げた冤罪事件を雪冤するプロジェクト「チーム・ゼロ」のメンバーが、4人の親子を殺害した強盗殺人事件の冤罪を晴らしていく過程が…

映画「愛にイナズマ」

10月29日、新宿ピカデリーにて日本映画「愛にイナズマ」鑑賞。レビューの得点が4.0で、評判もいいようなので鑑賞したのですが、午後一の一番眠い時間帯にもかかわらず、その面白さに魅せられ、眠ることもなく楽しめました。 松下茉優演じる女流映画監督は自…

大門剛明「共同正犯」

大門作品三作目は、連帯保証人制度という極めて理不尽な保証制度に翻弄される人たちの物語を描いた「共同正犯」読了。 鳴川仁は、かつては製鎖工場に勤めていたが、今は居酒屋を営む人のいい青年。何か面倒なことを頼まれると断れないような、誰からも好かれ…

映画「サントメール ある被告」

10月24日(火)下高井戸シネマにてフランス映画「サントメール ある被告」鑑賞。 本作の大部分は法廷で、その法廷での質問や尋問、それに対する回答によって、ドラマの深層が次第に明らかになるという趣向。 アフリカ系女性作家のラマは、同じアフリカ・セネ…

大門剛明「罪火」

大門剛明氏の作品第二弾は「罪火」。罪火という言葉自体は造語のようで、ネットで辞書を引いても大門氏のこの作品や、これを原作にしたドラマの説明しか出てこない。この「罪火」が最終的にはキーワードとしてこの作品のどんでん返し的なストーリーを解くカ…

映画「遠いところ」

10月21日(土)、下高井戸シネマにて日本映画「遠いところ」鑑賞。沖縄のゴザで2歳の幼い息子を抱えて暮らす17歳の女性アオイが、過酷な現実に追い詰められていく救いのない映画。沖縄にはこうした現実があることも知る意味で貴重な映画です 沖縄の言葉や、…

秋吉理香子「自殺予定日」

秋吉作品は長さも短めで、軽く読めるミステリーに惹かれます。今回選んだ作品は「自殺予定日」 何不自由なく両親と幸せな生活を過ごしていた瑠璃さんでしたが、母親が亡くなり父子の生活に。でも大好きな父親との生活は楽しかったのですが、父親が若い女性と…

大門剛明「完全無罪」

大門剛明氏の作品を読むのは初めて。デビュー作「雪冤」が2009年の横溝正史ミステリー大賞を受賞している作家で、冤罪や法廷ものが多いようで、今後の楽しみが増えました。 本作「完全無罪」も冤罪を扱う作品で、警察や検察、裁判所を厳しく糾弾する内容。 …

秋の北陸旅行記

10月15日(日)~18日(水)、3泊4日の方陸旅行に妻と一緒に赴く。私の体調がいまいちで、直前まで個人的には迷った部分もありますが、妻が楽しみにしていた旅行であり、何とか踏ん張って挙行しました。 大人の休日倶楽部北陸は少々お高いものの、通年実施し…

真保裕一「正義をふりかざす君へ」

真保裕一作品を久しぶりに読む。「正義をふりかざす君へ」は、雑誌「続楽」に2012年から2013年にかけて連載されたもので、2013年に単行本化、丁度10年前の作品。真保氏は朝日新聞にも月一ぐらいのコーナーを持っていたと記憶していますが、社会的関心も強い…

楡周平「国士」

楡氏が少子高齢化・人口減少の現代日本の再生を描いたシリーズ、「プラチナタウン」「和僑」に続く「国士」読了。 イカリ屋というカレー食堂のチェーン店のアメリカ進出を機に、創業社長である篠原が外部招へいした相葉に社長業を託すが、相葉は篠原が描く日…

馳星周「約束の地で」

「少年と犬」で久しぶりに涙を流してしまった私は、続いて馳さん作品「約束の地で」を図書館で手にしてしまい読了。「少年と犬」もそうだったように、連作短編風に、前作でちょい役で出てきた人物が、次作では主役あるいは主役並みに登場する形で、馳作品の…