2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

辻村深月「嚙み合わない会話と、ある過去について」

辻村さんが、過去の行為について、今その行為の罪深さを反省したり、あるいは強く追及される姿を描く4つの短編集「嚙み合わない会話と、ある過去について」読了。「噛み合わない」とは、過去の行為をした方とされた方の思いが、違っていることを指すのでしょ…

映画「ソフト/クワイエット」

一週間ほど前になりますが、6月16日に武蔵野館にてアメリカ映画「ソフト/クワイエット」鑑賞。この映画は、最初から最後までカットがないワンカット映画で、時間の切れ目がない映画。どうやって撮ったのか、あるいは編集したのか不明ですが、その作風には引…

凪良ゆう「私の美しい庭」

凪良さんの作品第二弾は「私の美しい庭」。この作品はほっと心温まるお話で心地よい余韻が残ります。 百音さんは10歳の小学生で、統理さんと暮らす。二人の関係は複雑で、統理さんと離婚した女性が再婚してできたのが百音さん。その両親が交通事故で亡くなっ…

凪良ゆう「流浪の月」

今最も若者に読まれている作家は誰か?と聞かれれば、その名前が必ず出てくるであろう凪良ゆうさん。ボーイズラブ作品が多いとのことですが、本作「流浪の月」は本屋大賞を獲得した作品で、直近の本屋大賞でも「汝、星のごとき」で獲得している、書店員さん…

辻村深月「かがみの孤城」

学校における「いじめ」は、すっかり小説の世界の定番テーマとなり、様々な作家が名作を発表している。私が一番感動した過去の作品は、重松清さんの「きみの友だち」でありましたが、他にもいくつかの作品を読んできました。本作「かがみの孤城」は、数年前…

宮下奈都「羊と鋼の森」

2016年の本屋大賞を受賞した宮下奈都さんの「羊と鋼の森」読了。宮下さんの作品を読むのも初めてですが、とにかく最近は女性作家の活躍が目覚ましく、本屋大賞に限って言えば、20回中13回が女性作家の作品。小説の世界ではジェンダーギャップは完全になくな…

道尾秀介「光」

道尾秀介が小学生の冒険の思い出を描いた「光」読了。全7章からなる連作構成。登場人物は小学4年生の利一、慎司、清孝、宏樹、6年生で慎司の姉の悦子、途中から登場する3年生の劉生。それに清孝の祖母のキュウリー夫人と叔父のガニーさん。私=利一が語りて…

映画「波紋」

「淵に立つ」で魅力的な主役をはり、「よこがお」でも怪しい魅力を放った筒井真理子さんが、三度の主役となった映画「波紋」を武蔵野館で鑑賞。現在62歳とは思えない若さと美しさを放つ彼女ですが、今回の役柄は悲喜劇の中で表情を変えていく演技がなかなか…