2022-01-01から1年間の記事一覧

中山七里「人面瘡探偵」

「境界線」に続く中山七里作品読書は、「人面瘡探偵」。 本作の主人公は相続鑑定士の三津木六兵さん。ちなみに相続鑑定士という資格はないものの、相続診断士という資格は実際にあります。国家資格ではありませんが、相続診断協会という一般社団法人が行う民…

映画「ハウス・オブ・グッチ」

リドリー・スコット監督が、イタリアブランドのグッチで実際にあった事件をベースに撮ったアメリカ映画「ハウス・オブ・グッチ」をギンレイホールにて鑑賞。 ブランドには全く興味もなく知識もないため、グッチがどれだけのブランドなのかはよく知りませんが…

二つの死

2022.07.08(金)は、永遠に国民に記憶の残る日になってしまった。安倍元首相が参議院選候補者の応援のために訪れていた奈良市で、41歳の元海上自衛隊員の凶弾に倒れ死亡した事件が発生。7.08元首相銃撃事件として、歴史の一ページに加えられるのではないか…

中山七里「境界線」

久しぶりの中山七里作品「境界線」読了。傑作「護られなかった者たちへ」では、東日本大震災で生活に困窮した弱者に対する厳しい生活保護行政の問題点を浮き彫りにした中山先生の、大震災をテーマにした第二作目の作品。主人公は前作にも出てきた宮城県警の…

伊岡瞬「明日の雨は。」

伊岡瞬の連作短編作品「明日の雨は。」読了。第一話「ミスファイア」から第六話「グッバイ・ジャングル」までの連作で、主人公は公立小学校の非常勤の音楽教師、森島巧。 育児休業になった女性音楽教師の臨時として赴任した23歳の森島巧先生が、非常勤ながら…

真保裕一「おまえの罪を自白しろ」

真保裕一氏の推理小説「おまえの罪を自白しろ」読了。真保作品は何年振りか、記憶もない有様だが、2019年とまだ新しい作品を選んで読み終わる。 「おまえの罪を自白しろ」とは、有力国会議員の孫を誘拐して、身代金ではなく、その国会議員に過去に犯した罪を…

映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」「スイング・ステート」

ギンレイホールにて映画二大鑑賞。 アメリカ映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」は、アメリカの巨大化学企業「デュポン」が、テフロンを作成する過程で発生する有害物質を川に流したり、地中に埋めていたことから、近隣住民や家畜に多大な被害…

伊岡瞬「瑠璃の雫」

伊岡瞬の2008年の作品「瑠璃の雫」読了。何となく東野圭吾の「白夜行」を思わせる、過去と現在を織り交ぜた、奥の深い作品。 小学6年生の杉原美緒が、母の従妹にあたる吉岡薫さんの紹介で、元検事の永瀬丈太郎と出会い、彼との親交を深めて救われるという大…

東北・信州温泉旅行紀

6月24日(金)~27日(月)にかけて、JR東日本の大人の休日倶楽部パスを利用した3泊4日の東北・信州温泉旅行敢行。 今回は青森、宮城、長野の3件の温泉巡り。 東京駅8:40発のはやぶさ号で新青森経由青森駅着。ここで時間があったので立ち寄った…

映画「三姉妹」

韓国の巨匠監督、イ・チャンドンが傑作「オアシス」を作ったのが2002年。オアシスで脳性麻痺の女性役を迫真の演技で演じたムン・ソリの新作「三姉妹」を武蔵野館で鑑賞。武蔵野館の株主優待券を使う機会があまりなく、結局期限の6月までに使わねば損とばかり…

最高裁の限界

3.11大震災で福島第一原子力発電所が全電源喪失という未曽有の事態となり、1号機から4号機が危機的状況になった事故から11年が経過。福島県民はその間多大な被害を受けてきたが、その被害に対する損害賠償は東電が国の支援を受けて行っている。これに対して…

伊兼源太郎「残響」

伊兼源太郎の警視庁監察シリーズの完結編「残響」読了。第一作の「密告はうたう」第二作の「ブラックリスト」に次ぐ第三作。前作が完結していないシリーズなので、当然次作があるのは間違いありませんが、話が複雑になってくる一方で、読んでいる方は「こん…

映画「前科者」「息子の面影」

新宿武蔵野館にて、珍しいメキシコ映画「息子の面影」鑑賞。メキシコからアメリカへの密入国が絶えないようだが、メキシコは勿論、中南米諸国からの違法移民も相当数に上る土地柄。トランプは国境に壁を築くと言って大統領になったが、バイデン政権になり壁…

宮内悠介「かくして彼女は宴で語る」

宮内悠介氏の作品に触れるのは初めて。朝日新聞の書評欄に掲載され、評者が絶賛していたので妻から図書館に予約してほしいと頼まれ、ようやく図書館から連絡があり妻が最初に読み、その後私が読み終わった「かくして彼女は宴で語る」。 登場人物はいずれも実…

林克明「プーチン政権の闇・増補版」

ノンフィクションライターの林克明氏は、チェチェン紛争を現地で取材し、ロシア・プーチン政権の闇を肌で感じて「プーチン政権の闇」を2007年に書いているが、今回のウクライナ戦争が、実はプーチンのロシア帝国主義の発露となったチェチェン紛争にその起点…

映画「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」「ライダース・オブ・ジャスティス」

6月10日(金)は久しぶりにギンレイホールでの映画二題鑑賞。それもアクション映画二本の上映で、正直疲れました。映画の良し悪し以上に、体調がすぐれないため、観客席に座っていること自体が苦痛。しかもその体調の影響か、頻尿気味ですぐにトイレに行きた…

伊兼源太党「ブラックリスト」

伊兼源太郎の警視庁監察ファイルシリーズ第二作「ブラックリスト」読了。不正警察官の行動確認(行確)を行う警視庁警務部人事一課所属の佐良刑事を主人公とした、警察の警察物語。 ブラックリストとは、振り込め詐欺などの主犯格と目される人間のリストのこ…

伊兼源太郎「地検のS エスが泣いた日」

伊兼源太郎が、地検の検事ではなく、事務部門の総務課長を主人公として描く「地検のS」シリーズ第二弾「エスが泣いた日」読了。前作に劣らずハラハラドキドキの見事なミステリー小説になっており読みごたえ抜群の作品。前作も次回作ご期待の終わり方でした…

映画「奇跡」

長崎旅行は何とか乗り切ったものの、身体の調子はどうにもよくならない。今日映画に行ったのですが、途中で気分が悪くなり途中部分はほとんど集中できずじまい。血圧は正常なのだが、それはあくまで服薬しているためなのか?左胸の圧迫感は消えず、息切れも…

伊坂幸太郎「サブマリン」

伊坂幸太郎が家庭裁判所調査官を主人公にした第二作目の「サブマリン」読了。前作は「チルドレン」でしたが、同じく個性的な陣内調査官や盲目の永瀬さんなど、おなじみの出演者が健在。本作の語り部は陣内の後輩である武藤調査官。他には木更津安奈調査官な…

下村敦史「サハラの薔薇」

下村敦史がサハラ砂漠でのサバイバルと、核開発・原発をテーマに描いた「サハラの薔薇」読了。最初の出だしが考古学者である主人公の峰たちがエジプトでの発掘調査で棺を発見するところから始まるので、考古学にまつわる話かと思いきや、実は砂漠でのサバイ…

長崎旅行記

2020.05.20(金)~22(日)の二泊三日の長崎旅行を敢行。かねてから妻と長崎に行きたいなあと話していたのですが、やっと思い立って実現。私達夫婦の旅行はほとんどJR東日本大人の休日倶楽部パスを利用した東北・北陸・甲信越の温泉旅行が主体ですが、西…

下村敦史「絶声(ぜっしょう)」

体調が悪いため、区民体育館のスポーツジム通いが中断し、体育館のカフェでの読書もしないため、読書量が減ったこの2週間。やっと読み終えたのが下村敦史「絶声」 すい臓がんになった資産家の父親が失踪して7年が経ち、兄妹3人が失踪宣告を求めて家裁に申…

ウクライナ戦争と私の体調

2022年2月24日は、ある意味で戦後国際秩序の大転換の日となってしまった。軍事大国が隣国の兄弟国に軍事侵攻し、核兵器の使用までちらつかせながら、米国・NATOの介入を止まらせ、現在に至るまでウクライナ国内各地にミサイル攻撃を中心に社会イ…

柚月裕子「検事の信義」

柚月裕子さんは、やくざと警察の戦いを描いた「孤狼の血」シリーズ3作品で、今までのイメージを一新した感がありますが、私が好きなのはやはり佐方貞人検事シリーズ。人間味のある佐方検事と増田事務官、そして筒井副部長の懐の深さ。この3人が所属する架空…

鈴木忠平「嫌われた監督 落合博満は中日を変えたのか」

落合と言えば、打撃の三冠王を3回獲得、ロッテ、中日、巨人、日本ハムを優勝請負人として渡り歩いた大選手、かつ中日の監督として8年間に日本シリーズ5回進出、日本一に1回という堂々たる成績を残した名監督でもあった。しかし、現役選手時代からその言動が…

下村敦史「コープス・ハント」

下村敦史作品「コープス・ハント」を速攻で読了。速攻とはかなりの飛ばし読み的意味合い。 「コープス」とは死体という意味。したがって作品名を日本語的に訳せば「死体探し」。 連続主婦殺しの最後の標的となってしまった若い女性が「夫から殺しを依頼され…

映画「親愛なる同志たちへ」「パーフェクト・ケア」「皮膚を売った男」

映画「親愛なる同志たちへ」「パーフェクト・ケア」「皮膚を売った男」 映画三題まとめてレビュー。 4月19日(火)、新宿武蔵野館にてロシア映画「親愛なる同志たちへ」鑑賞。今現在進行しているロシアによるウクライナ侵攻。1991年にソ連邦が解体し、今のロ…

雫井脩介「犯人に次ぐ2 闇の蜃気楼」

雫井脩介作品は「望み」以来約4年ぶり、「犯人に次ぐ1」を読んでからは15年ぶりとなりました。雫井と言えば「火の粉」という傑作がありますが、今回読了した「犯人に次ぐ2闇の蜃気楼」もなかなか読み応えがある、面白い作品でした。 主人公は神奈川県警の…

伊兼源太郎「巨悪」

横山秀夫調の硬派サスペンス作家、伊兼源太郎「巨悪」読了。一週間ほど前に読んだ伊兼作品「金庫番の娘」の姉妹編のような作品ながら、登場人物は与党実力者の馬場と、特捜部長の鎌形、美人検事の髙品が出てくるぐらいで、その他は一新された人たち。 東京地…