2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧
原田マハさんの飛びっきりの人情小説「旅屋おかえり」読了。 主人公は、かつてアイドルとして売り出したものの、パットせず、今はテレビの旅番組「ちょびっ旅」の旅人をやってプロダクションを支えている岡えりかさん、通称“おかえり”さん。プロダクションは…
都内の高級ホテルを舞台にした下村敦史作品「ヴィクトリアン・ホテル」読了。すっかり下村さんに騙された格好になってしまった私。他の読者さんも「まんまと騙してくれたな」と、心地良く騙されたのではないでしょうか。高級ホテルに宿泊、あるいは出入りす…
3月26日(土)、ギンレイホールにて、いずれも実話を映画化した骨のある作品二題鑑賞。 イギリス映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」は、9.11アメリカ同時多発テロの容疑者として拘束され、長期にわたりグアンタナモ刑務所に拘留され、拷問を受けた末に虚偽…
2022年3月25日札幌地裁は、2019年の参議院選挙の応援演説をしていた当時の安倍首相に対して、「安倍辞めろ」「増税反対」などのヤジを飛ばした男女が、北海道警の違法な排除を受け、憲法に保障された「表現の自由を侵害された」として道に損害賠償請求した訴…
ジャーナリストの青木理氏による、前作「時代の抵抗者たち」に続く第2弾のインタビューノンフィクション「時代の異端者たち」読了。 9人の勇気ある異端者ともいうべき方たちの、異端たる業績や権力への抵抗を聞き出した力作である。沖縄県知事を務め、徹底…
下村氏が雪山登山での遭難生還者の苦悩を主題にした作品「生還者」読了。正に生還者という題名が最適のミステリー。 主人公の増田直志は、父親と同じ法曹資格を目指して大学浪人中に、兄の謙一に誘われ、ボルダリング施設に行き、兄の恋人でもある清水美月に…
戦後の推理小説作家というと、古くは江戸川乱歩や横溝正史、松本清張などがおり、現代では直木賞を獲得している東野圭吾、宮部みゆき、大沢在昌など、多士済々の才能豊かな人がいるのですが、読んだ作家はまだまだまず少ない。それをつくづく感じるのは、最…
犯罪には大体加害者と被害者があり、被害者は加害者を非難あるいは恨み、加害者は被害者にひたすら謝罪するという構図が一般的。下村氏の本書「悲願花」は被害者と加害者の心情について掘り下げたストーリーを展開する。 幸子さんは幼いころ両親が借金で苦し…
下村作品の集中読書月間になっていますが、本日読了したのが「告白の余白」。二、三日前によんだ「アルテミスの涙」も、作品名と内容には関係性が感じられなかったのですが、本作の「告白の余白」も内容との一致が明確ではありません。それに加え、本作は社…
3月15日、ギンレイホールにて「プロミシング・ヤング・ウーマン」鑑賞。全く予備知識なく鑑賞したのですが、中身は非常に面白い内容で大変得をした気分です。 医大で学んでいた女性キャシーは、中退して今は小さな喫茶店で働く身。なぜ中退したかは、所々…
今年に入って高裁で2件、旧優生保護法のもとで強制不妊手術をされた原告の国賠訴訟で、旧法の違憲と損害賠償請求を認める判決が出された。障碍者が障害を理由に本人の承諾なしに不妊手術を受け、子供を持つことができなかった原告の勝訴判決であった。「除…
「白衣」に続き、下村作品「同姓同名」読了。 試しにFacebookで私の名前(柳澤修)で同姓同名の方を検索したところ、自分を含めて19人が検出されました。Facebookをやられていない方を含めれば、全国に同姓同名の方が数倍~数十倍いることになります。姓が佐…
下村氏が安楽死問題に目を向けた作品「白衣」読了。舞台はホスピスといわれる終末期医療を扱う病院。そこで発生した安楽死事件を中心にして、終末期医療の難しさを描写する人間ドラマである。 天心病院は余命が少ない病気にかかった患者を受入れ、安らかな死…
「小説を一冊でも書いたら死んでもいい」と友人の清水潔氏に語っていたという青木俊氏。その一冊目が「消された文書」でしたが、死ぬどころか次作「潔白」は前作以上にドキドキの作品、そして三作目の本作「逃げる女」は更に前作を上回るような痛快作。四作…
伊岡瞬の作品には二文字の表題が多いのですが、本作「仮面」は、内容と題がほぼ一致しているのではないか。 序章の「宮崎璃名子」は東村山のパン屋さんの奥さん。平凡に暮らしている普通の奥さんと思いきや、結婚前からかなりの男性経験があり、結婚後もその…