和田静香「選挙活動ビラ配りからやってみた」

相撲・音楽ライターの肩書を持ち、直近では「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた」という著作が評判になった和田静香さんが、「時給はいつも・・・」で聞いた国会議員である小川淳也さんの前回衆議院選の工事から投票日までを取材して、日記風に綴った「選挙活動ビラ配りからやってみた。香川一区密着日記」読了。

小川淳也さんと言えば、大島渚氏のご子息である大島新が監督したドキュメンタリー映画「君はなぜ総理大臣になれないのか」で一躍有名になった熱血議員。私自身は国会の質疑で、歯切れのよい、かつ真剣・真面目な態度に好感を前々から持っていましたが、「君はなぜ・・・」で余計に好きになった議員さんで、立憲民主党が政権に就いたあかつきには、ぜひとも総理大臣になってもらいたいと思っていた議員。そんな小川淳也議員のどぶ板選挙に密着して、和田さんが書きあげたのが本作。

和田さん自体が相当の苦労人のようで、最低賃金の職場で働いた経験もある庶民的な立場から、選挙活動に直接かかわった中で、次第に小川議員の人柄や政治姿勢に、更に引き込まれていく様子が描かれます。

香川一区は高松市を中心にした選挙区で、デジタル担当大臣だった平井卓也議員のおひざ元でもある。平井氏は地元新聞社やテレビ局のオーナー一族の御曹司で、地盤看板カバンすべてが揃った人。それに対して小川氏は、東大卒のキャリア官僚OBとはいえ、地盤看板カバンは全くなし。そんな選挙区で、過去に一度だけ選挙区で当選した以外は、比例復活当選の身で、何かと肩身が狭い思いをしてきた方。そんな小川さんを何とか当選させようと多くのボランティア運動員が加わり、知名度もぐんぐん上がって、ついに圧倒的な大差で当選できたことは、私にとっても朗報ではありました。しかしながら、残念ながら党首選では最下位に終わり、今は政調会長の身。

本作で最も印象に残ったのが、和田さんがある人から、小川さんの奥さんや二人の娘さんがたすきをかけて、そこに妻・娘という表現だけで、名前がないのはジェンダー論的には如何なものかと言われ、それを小川さんの奥さんにメールで伝えたことから起きる騒動。私的には、余計なことをしてくれたなあとの思いを強くしたのですが、この和田さんの助言について関係者で真剣に話し合って、翌日には小さな名札にしたというエピソード。この辺が小川さんのちょっと神経質なところ。果たして地元香川一区でどれだけの人がそんな些末なことに違和感を覚えるのか。助言は助言としてきっぱりと無視するべきと思った次第。

この件に対して小川さん自身もかなりいきり立った様子が描かれているが、その辺の決断力が今一つ頼りなさを感じさせるのかもしれない。本作には登場しないが、小川さんが維新に対して立候補しないように頼んだとの裏話が橋下徹から悪意的に暴露されて、しどろもどろになっていたのも思い浮かびます。

立憲民主党は危機的状況ですが、何とか小川さんが頑張って党首になり、再生してほしいものです。

今日はこの辺で。