米澤信穂「巴里マカロンの謎」

米澤氏が冒頭で記しているように、小山内ゆきと小鳩常悟朗の高校生コンビが、洋菓子和菓子などの甘味菓子を題材にしたミステリーの10年ぶりの文庫作品「巴里マカロンの謎」読了。お菓子にまつわる話の短編を4編が、それぞれお菓子の名前がついていて、尋常ならざるふたりの推理力がいかんなっく発揮されている作品です。

表題作の「巴里マカロンの謎」は、小山内が小鳩を誘って新規オープンしたマカロンを売りにした洋菓子店に赴き、3つ出されるはずのマカロンが4つ出てきたことから、なぜ4つ出てきたのか?を二人で推理していく話。マカロンは小型の洋菓子で、洋風どら焼きともいうべき構造。色とりどりで好きな方は多いと思いますが、私自身はそんなに食べた記憶がありません。4つ目の間違っておかれたマカロンがどれか推理し、そのマカロンには指輪が埋め込まれていたことから誰が埋め込んだかを鮮やかに説いていきます。中学生が母親が亡くなって間もない時期にもかかわらず、父親が新しい女性と付き合っていることに憤りを覚えてやった行為だったのですが、この中学生、古城秋桜がその他の話にも登場します。

「紐育チーズケーキの謎」は、小山内が古城から中学校の文化祭に招待され、小鳩を誘って中学に赴く。古城はお菓子倶楽部に属していて、二人はそこで紐育チーズケーキを食し、その美味しさに満足。その後に事件は発生。校庭のボンファイヤーでお菓子を焼こうとしていた小山内と古城のところに、男子中学生が走ってきて小山内と接触。男子生徒を追ってきた3人の中学生は小山内を連れてどこかに行ってしまう。逃げてきた生徒が小山内にCDを渡したことから、そのCDがどこにあるかの推理を小鳩が推理し、柔道部の悪行が暴かれるという話。

「伯林あげぱんの謎」は、ドイツパンのお店が作ったあげぱんの話。小鳩が用事で高校の新聞部に顔を出すと、4人の部員が異様な雰囲気。聞くと4人が食べたあげぱんの一つにはマスタードが入っていたはずなのに、誰もマスタードのパンは食べていないと申告。誰かが嘘をついているのか?何かトリックがあるのか?小鳩が鋭く説いていく。小鳩が新聞部の部室に行く途中で、涙を流している小山内と会っている記述がありますが、それが読者には大いなるヒント。結局揚げパンは5個あり、誰か外部の人が、辛いパンを食べていたのでした。

最後は「花府(フィレンツェ)シュークリームの謎」。花府と書いてフィレンツェと読むのを初めて知る。シュークリームとはありますが、あまり話とは関係が薄いかな?という感じ。古城から小山内に、学校を停学になったが、全く自分には身に覚えのないことで停学になったので調べてほしいとの電話。早速二人は、古城のマンションに赴き、事情を聴いて調査にはいる。4人の女子生徒がパーティーで飲酒した写真が証拠となって停学を言い渡されたが、リーダー格の生徒や諸々の情報を探るうちに、写真が捏造されていることに気づき、古城の無実は証明されることに。写真を捏造した犯人は、古城の父親が開いた洋菓子店のライバル店の親子という結果。それにしても、そんなに簡単に停学を学校はするものなのか?との疑問を抱いた次第。

今日はこの辺で。