2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

瀬尾まいこ「優しい音楽」

瀬尾まいこさんの作品5作目「優しい音楽」読了。本作は3つの味のある作品が所収された短編集。 表題作「優しい音楽」は、ある朝の通勤中に千波さんという女性から見つめられたタケルさんが、最初は彼女を怪しんでいたものの、毎日接するうちに好感を抱くよう…

瀬尾まいこ「春、戻る」

瀬尾まいこさんの作品4作目「春、戻る」読了。200ページほどで会話が多いため字数が少なく、かつ人情あふれる人たちの触れ合いが中心の人間ドラマで、大変読みやすい作品。 主人公の望月さくらさんは、結婚を控える36歳の女性。彼女は大学卒業してすぐ岡山県…

瀬尾まいこ「その扉をたたく音」

瀬尾作品3作目は「その扉をたたく音」。 主人公の俺(=宮地)は29歳で、一人暮らしの無職。生活費は裕福な父親から毎月20万円仕送りを受け暮らす贅沢な境遇。毎日ギターを弾いて作曲もしているが、稼いでいるわけではない。30歳まではギターでなんとか暮ら…

瀬尾まいこ「幸福な食卓」

瀬尾まいこさんの作品集中月間二作目は「幸福な食卓」。4編の連作短編となっており、主人公はいずれも「私=佐和子さん。幸福な食卓を囲むのは私と兄の直さん、そして両親の4人。四人は1年前までは必ず朝食を揃って食べていたが、今は3人=私、直さん、父親…

中山七里「ラスプーチンの庭」

中山先生が医療批判を盛り込んだ作品「ラスプーチンの庭」読了。 中山氏の小説は例外なく五章から構成され、ほぼ250~300ページの長さと決まっている。そうした定型パターンを作っているから多作が実現しているのかわかりませんが、とにかく多作な作家。それ…

2023年四万温泉旅行

4月20~21日、一泊二日の日程で、妻と一緒に四万温泉旅行に行ってきました。四万温泉は東京駅前から「四万温泉号」という直行バスが出ているため、気軽に行ける群馬の温泉。 今回が4回目の四万温泉となります。東京駅8:50分発の四万温泉号に乗り込むと、運転…

瀬尾まい子「傑作はまだ」

日本のジェンダーギャップは、残念ながら先進国では最低クラスで、特に政財界での女性進出が遅れている。しかし、唯一女性の進出が大きいのが文学界。最近の芥川賞、直木賞、本屋大賞など、大きな小説の賞での受賞者や候補者は女性が圧倒するほどに躍進して…

伊兼源太郎「祈りも涙も忘れていた」

伊兼氏お得意の警察小説「祈りも涙も忘れていた」読了。この作品も400ページの長編で、もっと凝縮していただけないかとも思うのですが、こればっかりは、作者と編集者の領域なので読者は何とも言えないのですが。 V県警捜査一課管理官として赴任した26歳のキ…

桜木紫乃「ブルース Red」

前作「ブルース」を2015年に読んで8年がたっており、ほとんどストーリーは覚えていませんが、本作「ブルース Red」はその続編。桜木さん独特に筆致で、道東釧路の町を舞台に、裏社会を牛耳る主人公、景山莉菜が釧路の町の寂しい雰囲気をバックにした人間…

道尾秀介「いけない」

「いけないⅡ」を先に読みましたが、話は全く違うので関係なしということで、いけないシリーズの第一作「いけない」読了。このシリーズは、何の関係もない話とは思いきや、何らかの関係があり終章で完結するという醍醐味があり、第一章から楽しみな謎が隠され…

中山七里「鑑定人 氏家京太郎」

中山七里先生が、また新たなキャラクターを創作して主人公に据えた作品「鑑定人 氏家京太郎」読了。 まずジャブとして出てくるエピソードは遺言書の鑑定。ここで氏家は鮮やかに文字鑑定の奥技を発揮して遺言書が偽物と鑑定。氏家がなんでも鑑定するというエ…