米澤信穂「氷菓」

米澤穂信氏の記念すべきデビュー作で、主人公の折木奉太郎、親友で古典部員の福部里志古典部の女性部員千反田える、伊原摩耶華の出会いから、奉太郎がいくつかのミステリーの謎解きを仲間としていくストーリー展開を描く「氷菓」読了。9月9日~12日かけての東北温泉旅行に持参したのですが、結局50ページほどしか読めず、本日集中して読み終わりました。このシリーズは、「いまさら翼と言われても」に続く二作目ですが、「氷菓」が原点となる作品でいまだに人気作品のようです。

4人はいずれも神山高校の1年生になったばかり。奉太朗は海外放浪中の姉の手紙で古典部に入部するように言われ何となく部室へ。そこにはある目的をもって入部した千反田えるが既に入部しており、その後他の二人も入部して4人で古典部復活を担う。そんな彼らにいくつかのミステリーが突きつけられるのだが、ハイライトは千反田の叔父、関谷純が神山高校を33年前に退学していた真相を4人が突き止めていく話。千反田の叔父も古典部に所属し、何故か退学したことを姪のえるに話しており、その時エルが泣いたことを記憶していて、どうして泣いたのか、退学の真相は何だったのかを調べてきたが解けず、奉太郎に相談する。結局4人が謎解きをするのであるが、解決するのはやはり奉太郎。奉太郎のたぐいまれなる推理力がここでも発揮されることになる。高校1年生にしてはあまりにも抜きんでた推理力で驚嘆ものだが、そこはあくまでフィクションの世界。古典部の33年前の文集に謎の言葉が書かれ、そこにそれを書いた女性徒の名前があるのであるから、その女性を最初から探し出せば話は早いと思うのですが、後出しで出てきます。これもご愛敬でしょうか。

氷菓」は氷のお菓子でアイスキャンディーとかアイスクリームの日本語訳。千反田えるの叔父関谷純は、文集の名前を「氷菓」と名付けたが、これは「アイ・スクリーム」のしゃれ。ただ一人責任を取らされ退学を余儀なくさ関谷潤さんの悲痛な叫びを表現した名称でした。

今日はこの辺で。