2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

木内一裕「小麦の法廷」

木内一裕さんも初めて聞く名前で読むのも初めて。法廷もの好きの私としては、タイトルに惹かれて手に取った「小麦の法廷」 小麦とは女性弁護士の本名で、苗字は杉浦。名前の由来は後半出ててくる、小麦さんの実父である磯村麦さんからとった名前。苗字が違う…

辻堂ゆめ「山ぎは少し明かりて」

辻堂ゆめさんはまだ32歳の若い作家。東大卒で既に何作かは文学賞の優秀賞やを受賞。「トリカゴ」では大藪春彦賞を受賞している有望作家。近い将来には直木賞を受賞する作家となることが期待されます。そんな辻堂さんの長編「山ぎは少し明かりて」は、女性三…

町田そのこ「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」

町田その子さんの初の単行本作品「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」読了。本屋大賞受賞作「52ヘルツのクジラたち」よりも3年前の作品で、緩やかな連作短編5作品が収録され、52ヘルツに似た匂いを持ち、これが町田その子さんの作風の原点かと思われる作品。 …

町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」

2021年の本屋大賞を受賞した町田その子さんの「52ヘルツのクジラたち」読了。今の小説や映画は、いじめ、虐待、セクハラ・パワハラ、DV、ネグレクト、LGBTなど、人間間の差別や孤独を扱ったものが非常に多く見受けられるが、本作は、そのほとんどの要…

奥田英朗「リバー」

奥田さんが足利事件をモデルにして書いた大作ミステリー「リバー」読了。何せ650Pの大作であり、最初読むのを躊躇したが、読みやすい作家なのでとにかく読み始め、その通り読みやすかったため実質3日間で読了。足利事件は典型的な冤罪事件として、再審無罪と…

窪美澄「夜に星を放つ」

窪美澄さんが直木賞を受賞した記念すべき作品「夜に星を放つ」読了。「ふがいない僕は空を見た」と同じように、5編からなる短編ですが、本作は一作一作が全く別の話で構成された作品。ただし、両作品は何となく似通った作風で、こうした短編が窪さんの真骨頂…

窪美澄「ふがいない僕は空を見た」

窪美澄さんの初期の代表作と言われる連作短編「ふがいない僕は空を見た」読了。5つの短編からなる本作の主人公は、皆さん顔見知りの関係者で、それぞれ単独作ではありますが、つながった話になっているところが面白い魅力となっている。 ミクマル:高校1年生…

一穂ミチ「砂嵐に星屑」

「スモールワールズ」は一穂作品でも出色で感動しました。続いて一穂作品「砂嵐に星屑」読了。一穂さん自身が大阪出身で大阪在住ということで、大阪のテレビ局を舞台にした人間模様が4作の短編で描かれます。 (春)資料室の幽霊:大阪のテレビ局、なにわテ…

ペットとの別れと出会い

義理の弟が海外転勤するということで、飼っていたクサガメを2年間預かることに。最初は1匹だったのですが、もう一人の預け先の方も転勤で飼えなくなるということで、二匹を預かることに。我が家ではかつて猫をたくさん飼っていたのですが、死んでいくか、い…

一穂ミチ「スモールワールズ」

一穂ミチさんの、直木賞候補となった短編作品「スモールワールズ」読了。 6篇の短編からなる本作ですが、いずれの作品も感慨深いというか、読み応えのある作品でありました。 ネオンテトラ:主人公は既婚者でモデル業をやっている34歳の相原美和さん。彼女は…

2024年映画鑑賞のふり返り(1)

ギンレイホールからは、相変わらず会館のお知らせがなく、場所探しに苦労しているのかどうか?そんなわけで最近は地元下高井戸の下高井戸シネマが専門となりつつあります。 2024年第一四半期のふり返りは以下の通り。 「あしたの少女」:韓国映画は今世界中…

伊吹有喜「雲を紡ぐ」

伊吹有喜作品は初めて読むのですが、本作「雲を紡ぐ」で直木賞候補にもなったことのある女流作家。 主人公は山崎美緒さんという高校2年生の女性徒。学校でのいじめから不登校になり、部屋に引きこもっている。父親の広志さんは家電メーカーに勤める技術者、…