米澤穂信「愚者のエンドロール」

米澤氏の折木奉太郎シリーズ第2弾「愚者のエンドロール」読了。依然として折木奉太郎以下古典部のメンバーは1年生の4人。彼らは夏休み返上で文化祭のための文集「氷菓」制作に入っており、毎日高校に通う日々。そんな中、本作では女帝こと2年F組の入須冬美からビデオ映画の試写会に誘われ4人で視聴。そのビデオは途中で中断しており、入須からこの後の展開を、脚本を書いた本郷という生徒の意図を推理してストーリーを完成してほしいとの依頼を受ける。本郷は脚本に行き詰ってうつ状態で休養しているが、展開は最後まで考えているはずという前提で。作品は6人の生徒が廃墟を訪れ、うち一人が何者かに殺されるという場面で中断しており、そこには密室のトリックが施されているのであった。誰が殺人犯か?この理不尽とも思える依頼に古典部の4人は受けるのだが、ビデオ制作に関わった3人の生徒からそれぞれの推理を聴くが、いずれも欠点があり、結局折木が一人で考えることに。そして彼は本郷の意図したストーリーを見事に完成させ、ビデオ映画は完成するのであるが、古典部の3人からはいずれも疑問を呈され、それを受け止めた折木は、入須の意図をようやく理解するのであった。

本郷が考えていたストーリーは、殺人は起こらない展開だったが、それではスリラーとしての面白みがないことから、入須が新たなストーリーを折木に作らせることにあったことを見抜くのであった。

こんな落ちとも言えないような話ではあるものの、真剣に読ませてしまうのが米澤氏の力量か。私も途中で何度か本郷に聴くのが一番早い方法のはずが、セリフが出てこないのはおかしいと思いつつ、ついついトリック解明にのめりこんでしまい、楽しい読書でした。

今日はこの辺で。