2021-01-01から1年間の記事一覧

初秋の小旅行

今年6月で会社を辞め、サンデー毎日のみとなって3カ月半、今は週3回のスポーツジム通い(区の施設のため格安料金)と、そこのカフェでの読書が私の今の習慣となっている。その他の日は映画館に行ったり、杉並・世田谷の図書館で本を読んだりの生活。また、妻…

佐藤究「サージウスの死神」

今年度上半期の直木賞を「テスカトリポカ」で受賞した佐藤究氏の初期作品、「サージウスの死神」読了。佐藤氏はデビュー当時は純文学から出発した方で、本作は2004年の作品で、群像文学新人賞を獲得している。しかし、その後鳴かず飛ばずで壁にぶち当たり、…

映画「アイダよ、何処へ?」

8月末のアメリカ軍のアフガニスタン撤退は、タリバン政権の復活を早め、タリバンの圧政を予期するアフガン国民の国外脱出騒動を生み出してしまった。これからタリバンによるアメリカへの協力者や反イスラムの人達への迫害も予想される緊迫した状況が続いてい…

桜木紫乃「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」

釧路生まれで、現在は江別にお住いという桜木紫乃さんの作品「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」読了。桜木さんの小説に感化され北海道旅行につい最近行ってきたばかりですが、この小説の舞台も釧路で、時代は昭和50年ごろの話。したがって、まだ地方…

映画「キネマの神様」

本日9月20日、ギンレイホールにて山田洋次監督作品で、松竹100周年記念映画「キネマの神様」鑑賞。沢田研二、菅田将暉のW主演ですが、本来は沢田研二ではなく志村けんがダメおやじ役をやる予定だった映画。残念ながら志村けんは新型コロナ感染で亡くなって…

大人の休日倶楽部「東日本・北海道パス」への挑戦

もう10年以上、JR東日本の「大人の休日倶楽部パス」に、ほぼほぼ100%利用してきましたが、途中から加わった「東日本・北海道パス」には参加してこなかったのですが、今回会社リタイヤを契機に、時間が有り余るほどある人生となったので、はじけて利用する…

浜田寿美男「袴田事件の謎」

心理学者の浜田寿美男氏が、袴田事件における容疑者袴田さんの警察・検察の取調調書と録音テープから、19日間犯行を否認した後ついに自白し、自白後の犯行内容の変遷の経緯から、浜田さんが犯人ではないことを心理学的に検証し、弁護側の証拠として「鑑定書…

産業遺産情報センター見学記

「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録される際に、韓国から軍艦島などで朝鮮半島から強制連行された朝鮮人が過酷な労働や扱いを受けたこと歴史があり、世界遺産登録にふさわしくないとの韓国からのクレームが出た。日本政府は、そういった歴史も知ら…

中山七里「切り裂きジャックの告白」

中山先生が、臓器移植を題材にしたミステリー「切り裂きジャックの告白」読了。 臓器移植や医療過誤は小説のテーマになりやすい題材ですが、中山先生は初めてか? 若い女性が相次いで殺害され、遺体から臓器一式が無残にも削除された姿で発見される。警視庁…

映画「白頭山大噴火」

韓国のアクション映画「白頭山大噴火」をTOHOシネマ新宿にて鑑賞。 北朝鮮と中国の国境にある白頭山は、標高2744mの火山。火山噴火の記録は16世紀~18世紀頃にあったようだが、確かな記録がないと言われる。ただし、2002年~2005年にかけて群発地震が記録さ…

中山七里「連続殺人鬼カエル男ふたたび」

中山先生の「カエル男」シリーズの続編「連続殺人鬼カエル男ふたたび」読了。前作では、埼玉県飯能市を舞台に、名前(姓)の「アイウエ」の順に殺人鬼が被害者を殺害して、飯能市をパニックにした話でしたが、今回はオから始まって、カ行に行くのではなく、…

真夏の四万温泉旅行

8月27日(金)~28日(土)の一泊二日で、夏の四万温泉旅行を挙行。関東全域が緊急事態制限にある中、「強行」と言うべきか?東京の感染者数は今週から5千人を割り込んで、頭を打ったのかという人もいるが、果たして感染率は如何か?おそらくPCR検査数が…

一ノ宮美成「自白調書の闇」

フリージャーナリストで、主に関西で活躍する一ノ宮美成著「自白調書の闇 大阪地裁所長襲撃事件「冤罪」の全記録」読了。 2004年2月16日、大阪市住吉区帝塚山で発生した大阪地裁所長おやじ狩り事件で犯人にでっち上げられた青年と未成年の冤罪の過程をドキュ…

映画「旅立つ息子へ」「サンドラの小さな家」

8月24日(火)、ギンレイホールにて映画二題鑑賞。 イスラエル映画「旅立つ息子へ」は珍しいイスラエル映画。映画のエンドロールが英語ともう一言語があったのですが、それがヘブライ語だったのでしょう。 自閉スペクトラム症候群の息子を持つ父親は、その息…

小池真理子他「エロスの記憶」

当代の人気作家による「エロス」をテーマにした短編小説集「エロスの記憶」読了。 エロスに挑む作家は、小池真理子、村山由佳、桐野夏生、桜木紫乃、林真理子の女性陣と、石田衣良、勝目梓、野坂昭如、山田風太郎の男性陣。勝目梓はこうした官能小説分野のベ…

中山七里「帝都地下迷宮」

中山先生の政治政策批判をたっぷりと盛り込んだ作品「帝都地下迷宮」読了。 一見荒唐無稽のドラマ設定ですが、原子力政策や福祉政策への批判を盛り込み、舞台設定を度外視して読める小説。 主人公の区役所の公務員、小日向さんは鉄オタクの中でも超珍しい廃…

映画「パーム・スプリングス」「ラブ・セカンド・サイトはじまりは初恋のおわりから」

ギンレイホールにて映画二題鑑賞。 アメリカ映画「パーム・スプリングス」は、どうでもいいような恋愛映画。現実と夢想が入り混じった中で、不思議な世界が展開>なんて格好いいような言葉で語るほどの価値がある映画ではない。時間の無駄としか言いようがな…

「旧優生保護法」による人権侵害被害者への謝罪と国賠補償を実施せよ  

2021年8月3日、神戸地裁は旧優生保護法(以下「旧法」)の下で、障碍を理由に不妊手術(以下「優生手術」)を強制的に受けた5人の国家損害賠償(以下「国賠」)訴訟の判決で、旧法を違憲(憲法13条、14条、24条違反)と指摘し、国会議員が速やかに優性条項を…

中山七里「逃亡刑事」

中山七里先生が、千葉県警の剛腕女刑事、高頭冴子を主人公にして描くアクション小説、「逃亡刑事」読了。33歳ながら警部で捜査一課の班長を務める、まさに「アマゾネス刑事」と呼ばれる冴子刑事が、警察内の不祥事を暴き、最後には県警本部長をも追い詰める…

志岐武彦「一市民が切る!!最高裁の黒い闇」

参議院議員の森ゆうこ氏が、小沢事件における検察の陰謀説を描いた「検察の罠」を前に読みましたが、それを読む限り、この事件が検察の陰謀であることがかなり詳しく書かれており、極めて信憑性が高いと思っていましたが、本作品では、実は小沢抹殺は最高裁…

中山七里「ふたたび嗤う淑女」

中山先生の悪女シリーズ二作目、「ふたたび嗤う淑女」読了。前作では主役の悪女、蒲生美知留が、ラストの裁判場面で野々宮恭子に入れ替わり、あっと驚くどんでん返しが繰り広げられ、蒲生美知留はいずこかへ消えてしまった展開でした。野々宮恭子は罪を逃れ…

映画「ヒトラーに盗られたうさぎ」「夏時間」

ギンレイホールでの映画鑑賞は、今までは土日に限られていたのですが、7月からサンデー毎日の身になったので、ウィークデーの8月3日(火)に鑑賞。 「ヒトラーに盗られたうさぎ」は、ユダヤ人絵本作家、ジュディス・カーの自伝的小説を映画化したもの。いわ…

映画「親愛なる君へ」

台湾映画「親愛なる君へ」を新宿シネマートにて鑑賞。ゲイの主人公が、今は亡きかつてのパートナーだった男性の実家に住み着き、年老いた母親と息子の面倒を見る中で、いらぬ疑いをかけられながらも、何とか息子と母親を守ろうとする姿を描く。パートナーの…

木谷明「刑事裁判のいのち」

裁判官となり、無罪判決を多数言い渡した経験のある木谷明弁護士著「刑事裁判のいのち」読了。検察が起訴した刑事事件の99.9%が有罪判決となる日本の裁判において、他の裁判官と比べて格段に有罪判決を出したことで有名な木谷明氏。そんな木谷氏の講演録や…

朝日新聞社会部編「ひとりぼっちが怖かった」

裁判所の傍聴席に行くと、話題になった事件の場合は必ず記者席が設けられています。新聞社などの記者たちが、入社してまず配属されるのが警察担当で、その次が裁判所らしいですが、若い記者たちは記事になりそうな事件があると傍聴席に座り、ネタを拾うのが…

映画「復讐者たち」

7月27日(火)、武蔵野館にてドイツ・イスラエル合作映画「復讐者たち」鑑賞。ジャンルとしてはホロコースト映画で、収容所などを脱出して生き残ったユダヤ人が、ドイツ降伏後、ユダヤ人虐殺に直接かかわった軍人や政治家などだけではなく、一般市民をも知…

上間洋子「裸足で逃げる」

上間洋子氏は沖縄生まれで、現在は琉球大学教授。主に未成年少女たちの調査や支援を経験し、現在に至っている方。上間氏が沖縄での未成年少女の調査・支援する中で知り合った、主に中高生時代に出産を経験し、シングルマザーとして生活する女性との交流の中…

佐藤究「QJKJQ」

2021年上期の直木賞を「テスカトリポカ」で獲得した佐藤究氏は、著者名も著作も全く知らず、情けない話ですが、初めて「QJKJQ」を図書館で借りて読みました。「テスカトリポカ」の中身は分らないのですが、本作の価値がどこにあるのか?私にはわからず…

映画「少年の君」

今最も巷の話題は、オリ・パラ開閉会式の音楽担当だった小山田圭吾氏の、かつてのいじめ体験と面白おかしくインタビューに答えていたことの過去が表面化し、辞任したこと。小山田氏の25年以上前のインタビュー記事は、正にいじめられた側の痛みを全く解し…