中山七里「連続殺人鬼カエル男ふたたび」

中山先生の「カエル男」シリーズの続編「連続殺人鬼カエル男ふたたび」読了。前作では、埼玉県飯能市を舞台に、名前(姓)の「アイウエ」の順に殺人鬼が被害者を殺害して、飯能市をパニックにした話でしたが、今回はオから始まって、カ行に行くのではなく、サ行に飛び越えて残虐な殺人を繰り返していく話を描く。前回の様に飯能市だけの場合は埼玉県警の問題であったが、今回はまずは千葉、続いて埼玉、東京、埼玉都4県の事件が発生。千葉県警から埼玉県警、そしてついには警視庁が管轄の舞台となり、三つの警察の葛藤が一つの焦点。特に警視庁の傲慢さと無能さが描かれるところは判官びいきか、あるいは、あくまでも埼玉県警の渡瀬警部と古手川刑事のコンビを主役にするためか。前作で妻と娘を殺害された御前崎教授は爆弾で粉々、熊谷の工場で亡くなる佐藤さんは硫酸で下半身が溶けてしまう悲惨な姿、そして神田駅で亡くなるシ行の女性は電車に轢かれ、これまた粉々、そして最後の埼玉での殺人は粉砕機での拷問的殺人。いずれもこれ以上ないという残虐な殺害方法なのですが、犯人と思われる当間勝男こと「カエル男」はなかなかその姿を現さない。警察は焦るが、実は渡瀬警部だけは早い段階から目星をつけていた・・・という話。

中山作品にある最後のどんでん返しは、真っ当な犯人に行きつくもの。

それにしても、医療刑務所から脱走した「さゆり」さんが、英法39条で無罪になった極悪人を貶めるが、彼女の今後の活躍が次回作で観られるのか?楽しみに待ちましょう。

今日はこの辺で。