志岐武彦「一市民が切る!!最高裁の黒い闇」

参議院議員森ゆうこ氏が、小沢事件における検察の陰謀説を描いた「検察の罠」を前に読みましたが、それを読む限り、この事件が検察の陰謀であることがかなり詳しく書かれており、極めて信憑性が高いと思っていましたが、本作品では、実は小沢抹殺は最高裁事務総局の仕業ではないかとの疑いを、各種証拠を添えて書いており、これまた信憑性が高い論陣を張っています。本作「一市民が切る!!最高裁の黒い闇 国家と謀略を追った2000日の記録」は、一市民である志岐武彦氏が、「最高裁の罠」に続いて書いた渾身の一冊。志岐武彦氏は、旭化成の住宅部門の責任者を務めたサラリーマンで、役員も務めたようですが、小沢裁判に疑問をもって、一市民として検察審査会の決定に不自然があること、すなわち、第5検察審査会が小沢氏を「起訴相当」とした審査会自体が架空ではなかったかということを、審査員の日当請求書等の情報公開請求で求め、それに極めて重大な疑義があり、かつ極めて短期間に結論が出ていたことへの疑問もあり、第5検察審査会は開かれなかったのではないかとの確証を持っているのである。

これに対して、森ゆうこ氏は、あくまで検察の陰謀説をとり、最初は志岐氏と森氏は共同で調査していたのも関わらず、途中で森氏の主張が変わって、志岐氏のSNSでの主張に対して、損害賠償請求訴訟を起こす手段に出てしまう。確かにこの訴訟は不自然であり、森氏が敗訴するのですが、志岐氏によれば、何らかの政治力が働き、最高裁陰謀説から検察陰謀説にならざるを得なかった事情があるのではないかとの疑問を述べている。

警察、検察の裏金作りについては、既に公にされ、刑事司法の暗部がさらけ出されましたが、裁判所までが裏金を作っている実態があるかもしれない疑惑は恐ろしいこと。それは絶対に公にしてはいけないもので、何らかの圧力がかかったのか?

小沢事件によって、小沢一郎の力は急速に衰え、政治の一大転換点でもあった事件。たとえ無罪になったとしても、小沢=黒のレッテルは剥がれることのない汚点として残ってしまった。日本の司法はどっぷり闇の中としか言いようがない。

今日はこの辺で。