佐藤究「QJKJQ」

2021年上期の直木賞を「テスカトリポカ」で獲得した佐藤究氏は、著者名も著作も全く知らず、情けない話ですが、初めて「QJKJQ」を図書館で借りて読みました。「テスカトリポカ」の中身は分らないのですが、本作の価値がどこにあるのか?私にはわからずじまいでした。とはいえ江戸川乱歩賞受賞作でもあり、それなりに価値がある作品なのでしょう。ですが、5人の選考委員のうち評価しているのは有栖川有栖氏と今野敏氏で、他の3人はそれほど評価していない。評価の分かれる作品なのでしょうが、私は3人の方の評価が適切と感じました。

まずタイトルの「QJKJQ」からして斬新と言えば斬新ですが、意味不明ともいえるもの。主人公である17歳の少女に対して、Q=クイーン=母、J=ジャック=兄、K=キング=父との理解でいいのか?主人公の市野亞里亞と父、母、兄の一家4人がいずれも殺人者になっている設定がいかにも非現実的、突然投資家が殺人場面を見ている場面が出てきて、先天的に殺人者になるべき人間を監視して、殺人の形態を観察するとか、何ともちぐはぐな話が続き、父が母と兄を殺したのではないかと疑い始めて、父との対決の場面が出てくるが、その時初めて父から、真相成るものを聞き出し、父親も死んだと思ったら、最後にはラテン語で話している場面が出てくるなど、支離滅裂な場面構成で、私自身は何ら評価しえない小説でありました。

今日はこの辺で。