小杉健治「結願」

小杉健治の弁護士鶴見京介シリーズの一作「結願」読了。

「結願」は「けちがん」と読み、「日数を決めて行った法会や願立てなどの予定日数が満ちること、又はその最終日」という意味を持つ仏教用語。この作品では、四国八十八か所のお遍路の最後の日といった意味を持ちます。

妹が付き合っていた男が殺され、その兄が逮捕される。妹が半年前に自殺しており、その恨みを果たすのが動機とされる事件。その兄が鶴見京介を何者かの紹介を受け、弁護を依頼する。誰が紹介したかは語られることがなく話が進む。兄は犯行を否認するが、ある時から自白してしまい、その謎を追って鶴見京介の謎解きの活動が始まる。

殺された男は札付きのヒモ男で、甘いマスクとやさしい素振りで、女性を食い物にして生きているようなひどい奴。兄はこのヒモ男が妹を殺したと信じているのだが、なぜか自殺ということで処理されている事件。鶴見京介は、5年前にも同じような事件があり、ヒモ男が起訴され無罪請負人と言われる浦松弁護士の弁護で無罪となっていた事件を掘り起こし、真犯人に迫っていくというストーリー。「結願」は、この浦松弁護士が何故か弁護士を辞めて、遍路巡りをしているところからつけられた題名であり、浦松弁護士が焦点の人となって浮上する。

鶴見京介シリーズは2冊目ですが、直近で読んだ「覚悟」も何となく似通ったストーリー展開。浦松弁護士が重要な存在であることは、最初の四国での出会いから暗示されるので、最後の結論が早めにわかってしまうところは、どんでん返し性がないのが残念なところでした。

今日はこの辺で。