映画「三姉妹」

韓国の巨匠監督、イ・チャンドンが傑作「オアシス」を作ったのが2002年。オアシスで脳性麻痺の女性役を迫真の演技で演じたムン・ソリの新作「三姉妹」を武蔵野館で鑑賞。武蔵野館の株主優待券を使う機会があまりなく、結局期限の6月までに使わねば損とばかりに、それほど興味がなかったのですが、暇に任せて新宿へ。新宿にはいつもの通りたくさんの人が歩いていますが、皆さんまじめにマスク着用。私は最近、屋外ではあまり着けないように努めていますが、極めて少数派。皆さん早く外しましょうと言いたい気分。

さて、ムン・ソリがオアシスに出演したのが20年前の27歳の時。今は47歳になっていますが、演技は韓国でも最高峰と言われる存在。

ムン・ソリが演じるのは三姉妹の真ん中の次女役で、教会活動をしている真面目な二児の母。しかし、夫は浮気をして不仲で決して幸福な生活は送っていない。長女もまた離婚して元夫の借金まで背負い、かつガンも患っている不幸な女性。三女は脚本家ながらスランプで書けず、夫や夫の連れ子に文句ばかり垂れているわがまま女。3人それぞれが家庭生活に満たされず、そんな日常が前半は描かれるが、見せ場は最後の三人の父親の誕生日祝いにみんなが揃った場面。三人には弟も一人いて、実家で部屋に閉じこもっている状態。宴席でその弟が父親に小便をひっかける場面から一気に緊張する。韓国も日本に劣らずジェンダーフリー度が低い社会と言われますが、長女と息子が父親から暴力を受けていたことが明かされ、ムン・ソリが父親に謝罪を求める。宴席はハチャメチャとなるが、三姉妹と弟が最後は仲良く別れ、三姉妹の家族と弟のこれからにいくらかの希望が見いだされるラストは救われます。

韓国は既に経済的には日本よりも豊かになったというデータもありますが、少なくとも映画やドラマの世界では日本の10歩も20歩も先を進んでいるような気がします。

今日はこの辺で。