伊坂幸太郎「サブマリン」

伊坂幸太郎家庭裁判所調査官を主人公にした第二作目の「サブマリン」読了。前作は「チルドレン」でしたが、同じく個性的な陣内調査官や盲目の永瀬さんなど、おなじみの出演者が健在。本作の語り部は陣内の後輩である武藤調査官。他には木更津安奈調査官などが登場。武藤が担当する事件は18歳の少年が無免許で車を運転して、人をひき殺してしまった事件。事件を起こした棚岡佑真は武藤に対して多くを語らないが、裏に何かがありそうな雰囲気。生真面目な武藤はどちらかというとあまり突っ込みがない人間で、気にはなるものの、事件の背後にある何かを解明するのに躊躇するタイプ。そんな武藤とは反対に、陣内主任は武藤にそっけない態度ながら、いろいろヒントを与える役目で、調査官としての資質はピカ一。棚岡がなぜ無免許で運転して人一人殺してしまったのかが、陣内のアドバイスを中心にして明かされていく。

民法が改正さて、18歳以上が成人となり、この作品が書かれた時点ではまだ18歳は少年。但し無免許での死亡事件ということで検察に送致されるものの、家裁調査官としては、少年の更生が第一の職務であることから、何よりも少年に寄り添うことが大切。それを実践してきた陣内が過去に担当した同じような運転による死亡事件が背後にあり、決して棚岡が不良少年ではないことが次第に明らかになり、武藤の判断はいかに?

今日はこの辺で。