中山七里「人面瘡探偵」

「境界線」に続く中山七里作品読書は、「人面瘡探偵」。

本作の主人公は相続鑑定士の三津木六兵さん。ちなみに相続鑑定士という資格はないものの、相続診断士という資格は実際にあります。国家資格ではありませんが、相続診断協会という一般社団法人が行う民間資格ですが、相続税法の改正により、相続税対象者が増えたことで、相談する人もあるとか。恐らく弁護士よりも安価に相談に乗ってくれるためではないかと思われます。

そんな資格を持つ三津木さんが、長野県の松本近辺にある架空の村の資産家の当主が亡くなったことから、顧問弁護士の依頼で相続財産の鑑定に訪れ、とんでもない事件に巻き込まれる話。

人面瘡探偵とは、三津木さんの上腕に瘤のようなものがあり、その瘤がジンさんと呼ばれる寄生人間で、鋭い推理を働かせて、殺人の謎を解いていくということから、W主演のような恰好。三津木さんはどちらかと言うとぼんやりタイプで、謎解きはほとんどジンさんが行うという筋書き。

三津木さんが来た資産家は、林業と製材で財を成した一家で、林業の衰退とともにほとんど金目の資産はない状態ながら、4人のきょうだいはそれぞれ少しでも遺産を我がものにしたい面々。ところが経営センスがない長男夫婦から始まって、独身で遊び惚けている次男、まじめだが経営の経験がない三男が次々に殺され、娘と幼くかつ障害のある子供だけが最後に残る。家には料理人と家政婦の女性が住んでいるが、犯人は誰なのかという謎解きが始まるという寸法。

中山先生らしいどんでん返しもなく、お遊び的に書いたのではないかと思わせる軽いタッチの推理小説で、AMAZONのレビューでも低評価だったが、その評価は間違いなし。

「境界線」に続いて、連続の残念な作品でした。

今日はこの辺で。