下村敦史「サハラの薔薇」

下村敦史がサハラ砂漠でのサバイバルと、核開発・原発をテーマに描いた「サハラの薔薇」読了。最初の出だしが考古学者である主人公の峰たちがエジプトでの発掘調査で棺を発見するところから始まるので、考古学にまつわる話かと思いきや、実は砂漠でのサバイバルと核と原発。特に核と原発については最後の最後に出てくるので、ほぼサバイバルゲームが主題。

峰たちが発見した棺のなかみは、古代のミイラではなく死後間もない現代人のミイラ。結局発掘の成果もなく峰が乗ったのはパリ行きの航空便。エジプトの空港で同僚のキャンセルチケットを譲ったのが美貌の女性シャリファ。峰とシャリファは、結局最後まで助け合いながら生き残ることになる。

航空機は何者かの仕業で砂漠に墜落し、生き残ったのは13人。そのうち7人が墜落現場に残り、6人が「オアシスを見た」という男の話を信じてオアシスめざして砂漠の旅に向かう。そして6人のサバイバルが始まる。オアシスを見たという男は、実は機長であったが、アフマドという犯罪者に殺され、次に老占い師が何者かに殺され、日本人の峰と永井、シャリファ、アフマドが、途中で出会ったラクダに乗った原住民に出会い生き残るが、街での銃撃戦で永井が死に、峰・シャリファVSアフマドとその仲間たちの戦いが始まり、峰とシャリファが何とか生き残るという展開。そこに永井が関係する自然界に存在する原発という言葉が出てきて、これを狙う国際組織に翻弄されたことが次第にわかってくるという次第。永井が残した謎のメモの意味が最後に何となくわかるのであるが、小説の主題が核開発と原発に関係する国際的な暗闘という大きな問題に切り込むにしては、何とも中途半端な形で話が終わってしまうのは残念でありました。

なお、フランスは最近核実験はしていないが、かつてはアルジェリアサハラ砂漠で相当の回数、核実験をしたことが描写されている。その残りかすが今は残っていないのか?心配ではあります。

今日はこの辺で。