映画「遠いところ」

10月21日(土)、下高井戸シネマにて日本映画「遠いところ」鑑賞。沖縄のゴザで2歳の幼い息子を抱えて暮らす17歳の女性アオイが、過酷な現実に追い詰められていく救いのない映画。沖縄にはこうした現実があることも知る意味で貴重な映画です

沖縄の言葉や、若者が使う言葉も出てきてセリフが聞きにくい場面が多くありましたが、これも演出で、自身がいまだ17歳の少女でありながら、子供や働かない夫、夫からの暴力、親に何も頼れないという環境下、全て背負っていかなければならない現実を、我々はどう解釈すべきなのか。ありていに言えば、公的機関の助けが必要なのだが、そこにもたどり着けない現実がまざまざと描かれる。

とにかく出てくる男どもは、女を食い物にするやつばかり。実の父親に至っては、もう顔を出すなという始末。17歳でキャバクラで稼いで、その金は働かないダメ夫が使い込むだけ。そのダメ夫は暴力事件を起こし、示談金を妻に出させようとする。結局危険な風俗に身をやつす。そんな彼女を唯一理解するのは同じ境遇の女友達一人だけ。その友達からは風俗はやめろと言われるが、やめようにもお金を稼がなければならないジレンマ。そしてその親友も自身の悩み苦しみから自殺してしまう。結局アオイには幼い息子しか残っていない。アオイは切羽詰まって養護施設に侵入して息子を連れだし、海に入っていく場面でジ・エンド。

何とも救いのない映画ではありますが、シングルマザーの生活困窮が叫ばれる中、一見の価値のある作品でありました。

今日はこの辺で。