秋吉理香子「自殺予定日」

秋吉作品は長さも短めで、軽く読めるミステリーに惹かれます。今回選んだ作品は「自殺予定日」

何不自由なく両親と幸せな生活を過ごしていた瑠璃さんでしたが、母親が亡くなり父子の生活に。でも大好きな父親との生活は楽しかったのですが、父親が若い女性と再婚したいと言ってきたとき、抵抗を感じるも渋々了解し、三人の生活が始まるが、大好きだった実母との思い出が消えるはずもなく、新しい母親のれい子さんにはなつけない。そして、ほどなくして父親までが病死してしまい、れい子さんとの二人だけの生活が始まる。れい子さんは父親の生命保険金を受け取り、父親のレストラン事業を引き継ぎ、更にはいくつかの事業にも関わり、テレビでも売れっ子になる。それに対して瑠璃さんは、父親は元気だったのに、なぜ急に死んでしまったのか?そこで思い出したのが、父親が亡くなったときに、れい子さんが青い小瓶を持っていたことに不信を持つ。父親の主治医だった田辺さんに、父親の死に不信がなかったか尋ねるが、実はもともと持病があったと言われ、警察でも相手にしてもらえず、いっそ死んで抗議してやると決心し、一人旅に出る。東京から2時間半の、自殺の名所ともなった村の旅館に宿泊し、そこで奇病な青年に出会う。青年の協力でれい子さんのメールを開くことができ、そこには驚くべきメールが残されていた。それはれい子さんと医師の田辺さんのやり取りで、いかにもれい子さんが薬物で殺害し、医師がそれに協力したような文言が。いよいよ瑠璃とれい子さんの対決の場面がやってくる。そしてその結末は、瑠璃の大きな勘違いで、父親は事業がうまくいかず鬱病となり自殺したこと。そして保険金の契約で一日だけ免責期間にかかることがあったため、死亡診断書を書き換えてもらったことなどの事情があったことを知る。すべて瑠璃さんの思い違いで、れい子さんは瑠璃さんを大事に思っていてくれたことがわかるのでした。

今日はこの辺で。