映画「サントメール ある被告」

10月24日(火)下高井戸シネマにてフランス映画「サントメール ある被告」鑑賞。

本作の大部分は法廷で、その法廷での質問や尋問、それに対する回答によって、ドラマの深層が次第に明らかになるという趣向。

アフリカ系女性作家のラマは、同じアフリカ・セネガルからの留学生ロランスが生後15カ月の子供を海辺に置き去りにして殺した罪で起訴され、その法廷を傍聴する。ラマとロランスの共通点は、フィアンセがいずれも白人のフランス人ということ。そしてラマも妊娠している。ロランスはフランス語も達者で優秀な学生だが、父親ほども年が離れ、妻子もある白人男性と同棲して子供を設けるが、男性は認知もしない。その根底にあるのは、アフリカ系に対するフランスでの根強い差別意識である。

本日の朝日新聞に、日本では望まない妊娠に対して男性の責任があまり問われないのに対して、フランスでは大きな責任を男が負うという記事があったが、果たしてこの作品における男性の責任はどこまで追及されるべきなのかが興味ある所ではあるが、そこまでは示されず、かつロランスに対する評決も示されずに終わる。

ラマは自分と同じ境遇のロランスに感情移入して、自分の妊娠4か月の事実を相手の男性に告げるか悩む。ここには、アメリカだけではなく、フランスにおいても厳然たる差別があることが表現されている。

本作の監督がセネガル系フランス人の女性でもあり、女性と妊娠、そこに人種差別が絡むことによる女性の苦悩を表現したかったのではないかと思った次第。

今日はこの辺で。