2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「聖なるイチジクの種」

下高井戸シネマにてドイツ・フランス・イラン合作の「聖なるイチジクの種」鑑賞。 イスラエルがイランに2週間前突然空爆を行い、2週間のイラン・イスラエル戦争が勃発。米国トランプ大統領がイラン核施設の破壊を目的とした空爆を行い、トランプに言わせると…

窪美澄「水やりはいつも深夜だけど」

窪美澄さんが、家族や夫婦生活の中で、それぞれの主人公が抱える心の悩みを描く短編「水やりはいつも深夜だけど」読了。 ちらめくポーチュラカ:私は20代で結婚して寿退社。今はいいマンションに夫と娘の3人暮らしで、何不自由のない生活。私には世間的に見…

喜多川泰「手紙屋 蛍雪編」

喜多川さんの人生訓の代表作である手紙屋シリーズ。前作は就職に悩む学生への人生訓でしたが、本作「手紙屋 蛍雪編」は、進学か就職課を悩む女子高校生が主人公が、手紙屋さんとの10通の手紙のやり取りで、自分の考えをすっかり正しい方向にセットして「勉強…

塩田武士「歪んだ波紋」

塩出しの作品は、代表作の「罪の声」以来で本作「歪んだ波紋」が二冊目。新聞社の記者又は記者OBを主人公とした連作短編で、記者の正義感や挫折、過去への悔悟などが描かれる力作。 黒い依頼:地方紙、近畿日報の記者、沢村は宿直時にひき逃げ事件の一報を受…

桜木紫乃「孤蝶の城」

丁度今朝日新聞の「語る 人生の贈り物」シリーズで取り上げられているカルーセル麻紀さん。日本におけるニューハーフの草分け的存在で、政敵適合手術までされた方。そんなカルーセルさんと桜木さんは同じ釧路生まれで同郷。そんな縁もあって、桜木さんがほぼ…

呉勝浩「爆弾」

呉勝浩氏の恐怖のテロミステリー「爆弾」読了。本作はほとんどが警察の取調室における取り調べを描き、刑事と犯人との知恵比べ的な会話を延々と描き、両者の心理的葛藤を浮き彫りにする。 ある中年の男が、野方警察署管内で小さな暴力事件を起こして連行され…

窪美澄「夜空に浮かぶ欠けた月たち」

窪美澄さんの作品は、直木賞受賞作「夜に星を放つ」含め4作品を読みましたが、いずれも連作短編的な構成になっていましたが、本作「夜空に浮かぶ欠けた月たち」もその例にもれず、6篇の連作短編になっており、いずれも心の病を患った人たちの苦悩と、彼らを…

映画「ノー・アザー・ランド」

6/1下高井戸シネマにて、アカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞したノルウェー・パレスチナ合作映画「ノー・アザー・ランド」鑑賞。ベルリン映画祭とのW受賞となったが、現在進行形のイスラエルによるガザでのジェノサイドへの抵抗を表す意味も多分にある受…

夕木春央「十戒」

夕木氏の作品は本屋大賞受賞作「方舟」以来二作目の「十戒」。方舟も密室で限られた人たちの誰かが犯人という設定でしたが、本作もそれに近い密室=無人島の中で繰り広げられるミステリー。大室理英さんは19歳の浪人生。彼女の伯父が急死し、叔父が所有する…