2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧
誉田氏の「ボーダレス」は、私が最初に読んだ「アクトレス」でも何度か出てきた「ドミナン事件」本体を描いた作品ながら、事件そのものは後半部分でしか出てこず、アクトレスに出てきた女性陣でまだ高校生だった森奈緒、片山希莉、喫茶店ドミナントの娘であ…
誉田氏の姫川玲子シリーズの短編集「オムニバス」読了。 姫川玲子は警視庁刑事一課の女性敏腕刑事。彼女が事件を冠と証拠に基づき解決する短編6篇を収録した推理小説で、同僚や先輩、後輩刑事がそれぞれその推理力に感嘆する。 それが嫌なら無人島:葛飾署管…
誉田哲也氏が練りに練って作ったであろう作品「感染遊戯」読了。本作品は、四つの連作短編となっていますが、実によく人物や事件が練りこまれていて、最後に集結する形となっていて面白い。 最初の「感染遊戯」は序章的な内容。勝俣健作は警視庁捜査一課の刑…
誉田哲也作品「アクトレス」読了。“アクトレス“とは普通に読めば女優。本作にはほぼほぼ女性が主役で登場しますが、女優とされるのは小説や脚本なども書く片山希莉さんと、人気絶頂の美人女優の真瀬環菜さんのお二人。しかしながら、全体の筋としては、環菜…
2022年の日本推理作家協会賞を受賞した芦沢央氏の「夜の道標」読了。 2年前の作品ながら、既に旧優生保護法の違憲性判決が出始めている時期で、2024年7月には最高裁が、法律自体が違憲であり、除斥期間の対象にはならないという判決が出たばかり。本作品を読…
今回初めて読む芦沢央作品。現在40歳で、2023年「道の道標」で日本推理作家協会賞を受賞し、これから楽しみな作家。そんな吉澤氏が2013年から2016年にかけて小説野生時代に連載し、単行本化の際に序幕と終幕を書き下ろした連作短編「バック・ステージ」読了…
澤田瞳子さんの直木賞受賞作「星落ちれ、なお」読了。江戸時代末期から明治にかけて活躍した河鍋暁斎という有名な日本画画家の娘、河鍋暁翠=とよを主人公にした一代記的作品。タイトルの「星」は父親の暁斎であり、幼い時から父親に絵を習い、父親も兄も越…
薬丸岳も駄作がない作家さんですが、本作「刑事弁護人」もその期待を裏切らないもの。 主人公は細川法律事務所の弁護士である持月凛子と、刑事出身の弁護士、西大輔のW主演と言ったところ。凛子は父親が刑事専門弁護士で、殺人事件の弁護をしたその父が、殺…
「あんのこと」6/17武蔵野館にて鑑賞。小学生のころから母親に虐待を受け、12歳で麻薬、16歳で覚醒剤中毒にされた若い女性が、一度は刑事に助けられて介護施設の仕事を始めて、未来が開けたと思ったら、コロナ禍のために居場所を失い、悲しい最期を遂げると…
盲目の天才ピアニスト、辻井伸行さんをモデルにしたような作品、「おわかれはモーツァルト」読了。 辻井さんはヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝者ですが、本作の主人公、榊場隆平はショパン・コンクールで二着に入り、一躍有名となり、主に日本…
多作で知られる中山先生の作品はほとんど読んでいますが、中には未読もあり今回読んだのが「死にゆく者の祈り」。多作とはいえ、一定水準以上の品質は保っており、誠にあっぱれであります。 本作の主人公は高輪顕真という浄土真宗のお坊さん。読む限り相当大…