映画「プロミシング・ヤング・ウーマン」

3月15日、ギンレイホールにて「プロミシング・ヤング・ウーマン」鑑賞。全く予備知識なく鑑賞したのですが、中身は非常に面白い内容で大変得をした気分です。

医大で学んでいた女性キャシーは、中退して今は小さな喫茶店で働く身。なぜ中退したかは、所々の会話で、ニーナという医大の同窓生に何か事件が起きて、それが原因でキャシーも大学を辞めたことが前半でわかりますが、どんな事件かはまだ明かされません。その後、映画の展開が事件関係者をキャシーが訪ねていくものとなり、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ(IIII)と続く構成。これも脚本上なのか演出上なのか不明ですが、分かり易い構成。次第にキャシーが復讐を企んでいることが分かってきます。ニーナは、医学部の同窓生に、あるパーティーで強姦を受け自殺。キャシーが犯人の男たちに復讐する痛快劇。特に同窓生で今は小児科医になっている男性と復讐を諦め結婚しようと気持ちを切り替えるものの、その男性もまた、そのパーティーの仲間であったことが分かり、最後の復讐に立ち向かう。ただ本作では、キャシーが最後は逆に殺されてしまうのが従来の復讐劇とは違うところ。しかし、賢いキャシーは、それも織り込み済みで自分が死んだ時を想定して、証拠の映像を信頼できるⅢの男に預けていて、悪が最後は滅びることになり、胸をなでおろしました。こうした復讐劇は、観ている観客にとっては痛快です。

ついでに記しますが、昨日Netflixで観た女性の復讐劇「ライリー・ノース復讐の女神」も痛快復讐アクション。夫と幼い子供を殺された主婦が、5年間の猛烈な訓練を経て、犯人たちに復讐する物語ですが、「プロミシング・ヤング・ウーマン」とは違い、徹底的なアクション活劇で悪を滅ぼします。最後は本人も捕まるのですが、彼女に同情した刑事が鍵を渡して放免してやるところも粋なはからいでした。

同じく昨日観た日本映画「友罪」は、薬丸岳の小説を映画化。神戸連続幼女殺害事件の14歳の犯人をモチーフにして、彼が出所して工場に勤務する中で、友達や恋人もできるが、世間やマスコミは、彼が野放しになっていることを許さない、犯罪加害者への厳しい視線を描く。少年裁判で刑を終えて出所し、生きていく権利はあるはずなのだが、名前や顔を週刊誌に公表され居場所がなくなる理不尽を訴える。瑛太の演技が恐ろしいほどうまいのには驚き。佐藤浩市が、息子が犯した無免許交通事故の被害者を訪れ、ひたすら頭を下げ、息子が結婚して子供が出来ることに断固として反対する姿もまた、非常に痛々しいもの。人の命を奪うということの重大さは、全ての人生を失いかねないことを教えるとともに、罪を犯し、罰を受けてきたものを受け入れない社会への批判も、薬丸岳とこの映画は語っていました。