白石一文「一瞬の光」

白石一文シリーズの読書続行中。今回読了したのは、彼のデビュー作というべき「一瞬の光」。
38歳の若さで大企業の人事課長になった橋田浩介という東大出身のエリートサラリーマンが、ある夜偶然に、採用面接した短大生を暴漢から助けるところから話が始まる。彼はその女性の身の上、すなわち母親や兄から虐待を受けて育ったことを打ち明けられ、彼女の精神的苦痛などを和らげようと寄り添っていく。
一方で、会社では社長一派に属してとんとん拍子に出世するのですが、社長の失態、裏切りで会社での地位も危うくなる。さらに一方ではその社長の姪で、美貌の女性と結婚を考えるまでに付合うのだが、彼の頭からは短大生が離れず、中途半端なままラストへ。
「一瞬の光」というタイトルを意識して、彼の人生観を表したいのでしょうが、シチュエーションが若干現実離れしているため、私にはピンとこない面が多々ありました。
40歳近い男が二十歳前の若い女性におぼれることはままあるでしょうが、ここまで献身的に救いたいと思うのか?それも肉体関係抜きに。彼女の親はほとんど出てこないのですが、大企業の重役でもある父親が、いくら家庭を顧みないとはいえ、母親や兄の暴力に気が付かないものか?美貌の素敵な女性がいて、激しいセックスもしているのに、若い女性に走ってしまうのか?
よく理解できないことの多い長編でした。
今日はこの辺で。