白石一文「彼が通る不思議なコースを私も」

白石一文「彼が通る不思議なコースを私も」読了。300ページほどの作品ですが、文字の区切りが短く、ページに空き空間が多いため、実質は半分ぐらいのページ数のためあっという間に読めました。もちろん内容もよくて、先を読みたいがためにどんどん読み進めた結果でもありますが。
主人公はWキャストで、不思議な能力を持つ男性の林太郎と、彼の妻になる霧子さん。霧子の親友の恋人がビルから飛び降りつ時に二人は初めて会い、そのすぐ後に合コンで再び会った二人はあっという間にお互いにひかれあいます。林太郎は子供がいじめや虐待で苦しむのを少しでもなくそうと教育者となり、霧子と結婚し独自の塾を開設する。霧子さんは家電メーカーで入社2年ぐらいながら重要な広報ウーマンとして、大阪へ旅立ち、二人は別居生活に。そんな状況下でいくつかのエピソードが語られ、それがまた読者をひきつける。特殊能力というと違和感のある、突拍子もない話に思われますが、自然に読者はそれを受け入れる魅力があります。
最後まで読み心地がいいのですが、最後の最後で林太郎が国会議員にまでなり、更に林太郎とビルから舞い落ちるような場面は、ちょっと飛躍しすぎの感はありましたが、全体的にはいい作品でありました。
今日はこの辺で。