長岡弘樹「教場」

長岡弘樹作品「教場」読了。長岡作品を初めて読んだのですが、なかなか味のある作品でありました。
舞台は警察学校で、新たに警察官として採用された人の新人研修での出来事をつづります。なるほど、警察官の研修というものはこういうものかと教えてくれる内容を随分含んでおり、その面でも勉強になりました。
作品は6話の連作短編集でなっており、担任の教官となる風間と研修生たちの行動と心理描写を描いていますが、最初の数編はその性格や行動から「篩(ふるい)」にかけられ、警察官をあきらめ学校を去っていく話が続き、警察官も楽じゃないなあと感じさせます。各自の性格を的確に読む教官の風間の鋭さが描かれます。
それぞれが長所と欠点を持っている新人たちの細かに描写されますが、特に最後の短篇「背水」はなんら欠点のなかった優等生の研修生が思わぬ弱点により風間から最後通告を受ける話が秀逸でした。
今日はこの辺で。