雫井脩介「望み」

雫井脩介作品「望み」読了。ある夫婦の高校生の息子が行方不明になり、殺人事件に関係しているらしいことがわかる。夫は息子が殺人を犯すはずがないと主張し、妻は犯罪者であっても生きていさえすればいいと主張。目撃証言などから、息子が犯罪の共犯者なのか、それとも被害者ですでに殺されているかもしれない可能性があり、その真偽がわからぬまま時間が経過していく様を描く。
夫は建築家としての地位が安定しており、もし息子が犯人であったなら、今の営業的な立場や生活が脅かされ、息子の命よりも被害者であってほしい思いが強く表れてしまうことを恥じるものの、妻からの批判を受け付けない自分がおり、妻は妻で、息子が犯人であっても生きてさえいればもう一度人生をやり直すチャンスに望みを託す。
究極の状況の中で、果たして息子は犯人なのか、それとも被害者なのか?
結果は読んでのお楽しみですが、犯罪被害者の家族もつらいし、犯罪者の家族になるのもつらいということをしみじみと感じる作品でした。
今日はこの辺で。