三浦しおん「光」

三浦しおん作品「光」読了。
美浜島という架空の島に津波が襲い、生き残ったのは5人だけ。その5人の20年後の物語が描かれます。北海道南西沖地震奥尻島があっという間に津波にのまれたのを想定したのでしょうが、ちょっと極端すぎるプロローグ。その津波の時に生き残った信之、美花、輔の20年後の舞台は東京近辺。
この3人に、信之の妻南海子と、輔の父洋一が現れ、暗い話が続きます。
輔>信之>美花という力関係が最後にはっきりしますが、この力関係は津波の前からあった形態。結局20年たっても変わらない力関係で犯罪が繰り返されるという皮肉な最後。
信之、南海子、輔が一人称となり、五章まで話がありますが、最大の勝者美花の立場からの章があってほしかったなあと思いました。三浦しおんは何故それを書かなかったのか?それが最も興味を引く話になると思うのですが。
今日はこの辺で。