直木賞の傾向

18年上期の芥川賞直木賞が決定したことは数日前のブログで書きましたが、その後各新聞などを読んで気になったのは、受賞作が全て文芸春秋社の単行本か雑誌だったと言うことです。両賞とも最初は文芸春秋文学賞だったことは事実であり、途中から日本文学振興会が主催しているものの、実際には文芸春秋社が選考の事務を行っていることもまた事実です。
そこで、ここ数年の直木賞受賞作の傾向を見てみると、結果は一目瞭然です。今回の135回の三浦しおん、森絵都の2作品、134回の東野圭吾、133回の朱川湊人、132回の角田光代、131回の奥田英朗、熊谷哲哉、129回の村山由佳、127回の乙川優三郎、126回の山本一力、125回の藤田宣永、124回山本文緒・・・・・・、途切れなく文芸春秋作品が選ばれています。128回は該当作なしの年で、130回のみ文春作品が外れています。
芥川賞直木賞は、数ある文学賞の中でも飛びぬけた知名度と権威を誇る文学賞で、受賞した本人は勿論のこと、版権を持つ出版社にも大きな恩恵をもたらします。受賞前の東野圭吾横山秀夫のような、受賞しなくても一流の作家はおりますが、やはり候補作で終わるのと、受賞するのとでは大きな違いです、出版社は数十万部の販売を予想でき、大きな収入源になります。こうした文学賞を一出版社の作品が独占的に受賞している事実は、例え意図したものでないにしろ、世間はそうは見ません。それが結果的には文学賞の価値を低下させ、世間の注目を浴びることがないものとなってしまう恐れがあります。少なくとも選考事務局は出版社から独立させるなどの工夫ができないものか?
かといって、今までの受賞者をけなすつもりは全くありません。受賞者はやはりすばらしい才能の持ち主であり、受賞後も活躍している人がほとんどです。
さて、最近は私の読書速度が極端に落ちてきました。原因はこのブログと数独です。特に数独は難しいものになると数時間すぐに過ぎてしまいます。そんな訳でこの2週間で読んだのは角田光代の「人生ベストテン」だけ。短編集でしたが、角田作品にしてはいまいちの感がありました。奥田英朗のガールには及ばないと思います。
今日はこの辺で。