植草一秀「知られざる真実~勾留地にて~」、「植草事件の真実」

冤罪被害者植草一秀著「知られざる真実~勾留地にて~」読了。植草事件については昨日もブログに書かせていただきましたが、この著作はご本人が勾留中に書かれた経済、政治、社会に対する深い洞察をと、事件の真実を率直に描写した渾身の一策。二度の事件に巻き込まれた当時の小泉~竹中体制への批判が見事な論理構成で描かれており、彼の鋭い経済学者としての一端がよくわかります。
小泉誕生後の5年間の政治・経済状況に対する私自身の認識は、不良債権問題の解決が何よりも先決との考えに凝り固まっており、私自身が小泉-竹中マジックにすっかり染まってしまっていたかもしれません。「自民党をぶっ壊す」をスローガンに、熱狂的な人気を博した小泉首相ですが、確かに彼の政策が本当に国民のためになったかどうかは疑問が多いところ。植草氏が述べるように、緊縮ではなくて、景気浮揚中心にした方がよかったのかもしれません。
さて、一番の闇は彼の経済政策理論が耳障りでしょうがない時の政権が、彼を貶めたのかどうかですが、証拠関係をつぶさに見れば、一目瞭然かと思います。
警察・検察は嘘はつかない、だから裁判所は嘘っぱちの自白調書をなんら疑うこともなく採用し、どんなに筋が十田弁護側の証拠も不採用、あるいは信用せず、99.9%の有罪率を確保するのに貢献する、という構図が残念ながらまかり通ってしまう。全く持って理不尽この上ない日本の現在の裁判制度です。
植草一秀事件を検証する会編著「植草事件の真実」は、植草氏の無罪を信じるメンバーによる事件の検証本。最初のエスカレーターでの鏡事件と、京急社内での痴漢事件が、どう検証してもあり得ないことを明らかにしています。神奈川県警鉄道警察隊が植草氏に目を付けた端緒が全く不透明で、最初からターゲットにしていたとしか思えない。2件目の車内での痴漢事件。泥酔してしまったことはまことに残念ではありますが、両手に鞄と傘を持っていた体勢、車内で彼を取り押さえた二人がその後現れていない不可思議。謎がいっぱいながら、ただただ警察・検察の言うことだけを証拠採用した裁判所の不誠実に怒りを覚えました。
今日はこの辺で。