冤罪足利事件―「らせんの真実」を追った四〇〇日

下野新聞記者著「冤罪足利事件―「らせんの真実」を追った四〇〇日」読了。下野新聞足利事件が起こった栃木県の地方紙。その地方紙記者が、地元で起こった幼女殺害事件を警察、検察の捜査を何の疑いなく垂れ流し、裁判所の判断にも疑うことがなかった反省を込めて総括した作品。
足利事件においては、確かにDNA鑑定という科学的な証拠の壁があったがために、菅家さんの無実をメディアもなかなか無実としずらかったのは確かでしょうが、当時のDNA鑑定が未だ開発途上であったことを鑑みれば、科警研の結果を疑う誰かがいてもおかしくなかったのではないかと思ってしまいます。
特に自白の信ぴょう性は全くなかったのですから。
この本の巻末に、警察と検察の取り調べ時のテープの音声が綴られています。その中で、検事の取り調べ時には、確かに高圧的な言辞はありません。ただ、菅家さんは「やっていない」とはっきり言っています。しかしながら、DNAの証拠がある、供述が本人が自主的に言っていることを言われて、また自供する形になっています。この辺が、菅家さんの当時のどうしたらいいのかわからないという精神的に追い詰められた状況が見て取れます。
いずれにせよ、本人がもう一度DNA鑑定してほしいことを訴えているということは、もし犯人であるならばリスクであるので、言うはずがないのは当然です。それでも再鑑定を認めなかった裁判所の、どうにも許しがたいところであります。警察、検察は足利事件の反省文を発表していますが、裁判所は発表していません。地裁の判事が3人で謝ってはいますが、もっと上部、高裁、最高裁が本来は検証して、謝罪すべきと思うのですが。
今日はこの辺で。