短篇ミステリー小説「現場に臨め」

当代一流の推理作家の短編集、日本推理作家協会編「現場に臨め」読了。
15名15編の短編推理が楽しめるもので、いずれ劣らず読み応え十分の作品集。すべての感想を書くとたん変な長編ブログになるので、一遍だけお気に入りを紹介したい。
新津きよみさんの「思い出を盗んだ女」
朋子は中学一年生の子供を持つ主婦で、旦那は平凡なサラリーマン。彼女は結婚前に妻子のある男との不倫経験があった。そんな朋子が不倫中に、彼氏を誘い金沢に旅行。そこで写真を撮ってほしいというカップルなどにこたえて写真を撮ったりする。彼氏は不倫でもあり、写真を撮られることを嫌う。そんな旅行中の、家族旅行中の夫婦と子供と隣り合わせになり、たまたまその家族が忘れていった写真のフィルムヲ拾う。朋子はそれを何とはなしに返さずに保管してしまう。朋子は結局不倫をやめ、彼氏とも別れる。でも、朋子は16年後に思い立って、そのフィルムと写真を、宿泊した旅館に手紙付きで郵送。これが前半。
後半は不倫相手の彼氏の家族の話。彼の娘が結婚相手と決めた若者がいるのですが、父親は収入が不安定な相手との結婚に反対している。唯一、その父親は運命的な出会いを信じている。
若者はかつて家族で金沢に旅行に行って、フィルムをなくしてしまったことをフィアンセに話す。フィアンセは見つかるかもしれないと、二人で金沢に行き、偶然にも前半部で旅館に送られてきたフィルムと再会。
若者は、後日結婚に反対している父親宅に行き、娘と一緒に写真に出合ったことを告げ、娘の両親に写真を見せる。そこでは、まさに運命的な出会いが待っていたのでした。
最後の最後のどんでん返しを見事に表現した短編でした。
今日はこの辺で。