桜木紫乃「ふたりぐらし」

桜木紫乃「ふたりぐらし」読了。この小説での二人とは、映写技師で仕事がたまにしかない信好と看護師の紗弓。信好はなかなか仕事が見つからず、半ば紗弓に食べさせてもらっているような状態。それでも、その優しさから紗弓から愛されている。また、信好もまた、紗弓の優しさを気に入ってとても仲のいい夫婦。そんな二人の生活を変わりばんこに短編風に描いた作品。桜木さんの作品は、北海道の厳しい自然をバックに、人間関係の機微を寒々しく、そして暖かく描くのが特徴ですが、この作品は、暖かさが全編にわたり感じられる作品。
男の自分から見ると、紗弓さんは理想的な女性像。ほとんど収入のない夫に対しても、何も愚痴を言わず、逆に思いやる心が描かれています。もちろん信好さんもひものような生活をしているわけではなく、家事一切を受け持ってくれる旦那さん。そんな旦那さんに、紗弓の父親からの紹介で仕事が決まり、読んでる方も一安心。
ふたりとも年齢的には子供を作るぎりぎりの年齢。今までは収入が少ないぎりぎりの生活でしたが、若干余裕が出て、是非子供を作って、二人の優しさを受け継ぐべく、育ててほしいものです。これは番外編での私の希望でした。
今日はこの辺で。