白石一文「ここは私たちのいない場所」

白石一文「ここは私たちのいない場所」読了。
先日読んだ「神秘」に出てくるような中年男性が主人公。
主人公の芹澤さんは、大手食品会社の役員。彼は独身を貫いて仕事一筋で生きてきた優秀なビジネスマン。しかしある事件の責任を取ってあっさりと会社を辞める。50歳そこそこのサラリーマン役員でも、あっさり辞めて生活の心配がないのはうらやましい限りですが、独身だからこそできる芸当。
辞めた原因を作ったかつての部下の若くてきれいな女性、珠美さんがその後の物語の花となります。
いずれにせよ、芹澤さんは一流大学を出て、一流会社に就職して、同期で一番の出世をしたにもかかわらず、あっさり会社を辞めるほどにお金と度胸があるのはうらやましい限り。その上、若くて美しい女性が手の届くところにいる環境は、現実感がないお話にならざるを得ません。ああー、うらやましー。
白石作品は案外こういった主人公が多いように思うのですが。
かつ、案外哲学的な要素も含めています。かといえば、小龍包の熱い肉汁でやけどしたりと、描写が非常に具体的なところも特徴。
今日はこの辺で。