柚木裕子「孤狼の血」

柚木裕子「孤狼の血」読了。柚木さんは今売り出し中の女流作家。私もいくつか読んでいますが、検事物を中心とした、法廷小説が好きですが、最近はジャンルの幅が広くなっているように思います。
そんな彼女の今までの作品とは一味もふた味も違うやくざと警察を描いたハードボイルド作品。
昭和末期の広島県呉原市(呉でしょう)を舞台に、暴力団の抗争と、そこに食い込む暴力団担当刑事大上。大上の下で暴力団との付き合い方を学んでいく若い日岡という刑事。
まさか本当に大上のような刑事が存在するのか否かはわかりませんが、極道の世界を必要悪と考え、抗争を抑え込もうとするやくざ以上にやくざっぽい刑事の姿を描く。
一般社会では通用しないやくざ社会での正義と義理人情などを巧みに織り込み、大胆な小説を作り上げていました。しかし、どこでこんなネタを仕入れてくるのか。小説家はとにかく豊富な知識と構成力、文章力が必要でありますが、柚木さんは今後も楽しみな作家です。
彼女の最近の傑作「盤上の向日葵」を早く読まなくては!!!
今日はこの辺で。