唯川恵「手のひらの砂漠」

唯川恵の「手のひらの砂漠」読了。
夫の暴力に1年以上耐え、殺されそうなまでの暴力を受けている一瞬のすきに身一つで逃げ出して、シェルターやステップハウスを経由して農園に避難。その後も夫に追いかけられ、周りの同じような境遇の女性たちに助けられながら、なんとか居場所を見つけていく女性の姿を負った小説。
400p近い長編ながら、その読みやすさと、ハラハラドキドキ感、そして男の暴力の卑劣性を遺憾なく描いていることから、あっという間に読み終えました。
DVやいじめを扱った小説は五万とあるのでしょうが、唯川作品はいつもながらその読みやすさから、すいすい読み進めます。
いじめやDVに共通するのは、その事実を周りに言えず、自分にも悪いところがあると思ってしまうこと、そしてとくにDVの女性にとっては、別れて生活が成り立つのかという経済的な不安が付きまとうこと。そこを漬け込む男のいやらしさが、遺憾なく表現されていますが、この小説でのDV夫は、すでに病気なのでしょう。それでもこんな男が世間にはたくさんおり、たくさんの女性が苦しんでいると思うと、悲しくなります。
今日はこの辺で。