村上春樹「女のいない男たち」

村上春樹作品は今まであまり興味がなく、地下鉄サリン事件の被害者を負ったドキュメンタリー作品「アンダーグラウンド」を読んだだけ。今回、妻が捨てようとした「女のいない男たち」を読んでみました。
表題作ほか全6篇の短編集ですが、意外と読みやすく、すらすら読めたため、村上作品についての認識を改めました。
「ドライブ・マイ・カー」は、美しい女優の奥さんを亡くした俳優の中年男が、若い女の運転手を雇い、彼女との会話や、かつて奥さんが関係した男との会話で、妻がなぜほかの男と関係を持ったかを知ろうとする話。
「イエスタディ」は、関西出身で完璧な東京弁を話す僕が、東京の田園調布生まれで、これも完ぺきな関西弁を話す奇妙な来るという男、木樽と出会い、木樽の彼女を交えた男と男、男と女の話が繰り広げられる話。
「独立器官」は、独身で女性にも不自由していない52歳の美容整形医師が、ある女性と会って、本当に愛してしまい、彼女に会えないつらさなどに苦しめられて死んでいくという話。
「シェラザード」は、何の説明もないが、とあるハウスにいる男の主人公の身の回りの世話をする女性が、セックスもする中で、面白く奇妙な話をしてくれることに興味を持ち、その女の奇妙な話を中心に物語が進む。
「木野」は、出張から1日早く帰ったがために、自宅で妻が男の会社の同僚とセックスしているところを目撃してしまい離婚することに。そして、会社を辞め小さなバーを開店し、そこで不思議な体験をすることに。
表題作「女のいない男たち」は、この単行本のための書き下ろしとのこと。元彼女が自殺したという知らせを元彼女の夫から聞かされて、物思いと葛藤にふける主人公の話。
以上6篇の中で、表題作だけはとっつきにくい作品でしたが、そのほかはそれなりに楽しめました。
よく村上ワールドという言葉を聞きますが、確かに表現が独特で繊細であることを感じました。
今日はこの辺で。