唯川恵「テティスの逆鱗」

唯川恵テティスの逆鱗」読了。相変わらず読みやすい文体で、かつ先を読みたくなる展開であっという間に読み終えました。
整形外科医の女医と、彼女に整形を受ける4人の女性の底知れない美への欲求を、これでもかこれでもかというほどにしつこく、そして面白く描いた作品。
晶世は優秀な整形外科医で、彼女のところには美を追求する女たちが集まってくる。
條子は熟年に差し掛かった美人女優だが、年齢には勝てずシミが出始める。それでもヌード写真集を出すほどの美を誇りたいがために晶世にすがる女。
涼香は、太って醜くなって死んだ母親のトラウマから逃れるために、自分の原型を残さないほどに整形で顔形を変え、半分頭がくるっているような女。莉子は、かつてはぶすだったが、整形によって容姿を一変して、かつて高校時代に馬鹿にされた男を翻弄したり、金持ちの男の玉の輿に乗ろうとするキャバ嬢。そして多岐子は共働きながら、夫に相手にされなくなったことから、他の男と不倫し、性器まで整形する女。どの女たちも普通では考えられないような美への執着、男に好かれたい願望を満たすため、病院へと足を運ぶが、最後は美の女神の逆鱗に触れ、不幸が目の前に迫る。
女性なら誰でも(男でもそうでしょうが)願う美への願望を唯川恵らしい、怖いほどの執着を表現していて、読み応え十分でした。
今日はこの辺で。